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そのシミ気になりますか?              シミにも色々な種類があります

9月、紫外線を受けた肌のダメージが、いよいよ現れてしまう時期です。もし春先から紫外線を受け続けていた場合、メラニン生成がピークを迎える可能性があります。また肌の不調を感じやすいのがこの時期で、肌荒れが長引くと肌のターンオーバーが乱れ、メラニンが蓄積してしまいます。これがシミの原因となるのです。できる前に予防して、できてしまったら加療しましょう。

 

佐久平よつばクリニック (☎0267-66-0428) 中村 健 院長

 

シミとはなんでしょう

シミと言う言葉は医学用語ではなく、一般に言われる「シミ」とは実は様々な色素斑が含まれています。シミを簡単に説明しますと「紫外線被ばくや持続する刺激により起こる、皮膚の局所的な色素の増量のこと」で、大きく分類して5つに分けることができます。表に示した様に、シミには種類がありますので、まず的確な鑑別が必要になります。また種類により治療方法が異なりますので、鑑別が重要になります。

 

シミはなぜできる

一般的な加齢によるシミ(老人性色素斑)についてご説明させていただきます。皮膚の外側の表皮には、メラノサイトという色素を産生する細胞があります。通常この細胞は紫外線を受けると、メラニンと言う色素の粒を産生し、表皮全体を覆います。これがいわゆる日焼けの状態で、表皮の新陳代謝(ターンオーバー)が生じると自然に排出され、元の皮膚の状態に戻ります。しかし紫外線によりDNAの損傷が蓄積されたメラノサイトがメラニン色素を大量に生産し続けてしまうことからシミは始まります。
しかし、このままではシミにはなりません。通常は表皮のターンオーバーにより排出されるからです。では、何故シミになるのでしょうか。それは、体調不良やホルモンバランスの乱れ、または加齢により正常なターンオーバーが行われず、皮膚に溜まってしまうためです。つまり、 メラニンの産生が増え、排出が悪くなってしまうことでシミを作ってしまうのです。このため、老人性色素斑は日光が当たりやすい部位にできやすい傾向にありますが、ときに当たらない場所にもできます。また年齢は30代からが多いですが、まれに10代、20代にもできることがあります。円形に近いことが多いですが、不定形な場合もあり、大きさもさまざまで、ゆっくりと拡大する傾向があり、色調もだんだん濃くなる場合が多いです。治療により取れやすいタイプの色素斑ですが、再発の可能性もあります。

 

光老化にご用心

紫外線はシミの原因となるのみならず、皮膚の老化にもつながります。紫外線にはUVAとUVBがありますが、UVAは皮膚の深いところまで到達し、コラーゲン繊維などを傷つけシワやたるみの原因となります。また、UVBはメラノサイトを刺激し、メラノサイトのDNAに傷を作り、メラニンを作り続けるようになり、シミの原因となるのです。加齢による皮膚の老化のみならず、光老化が加わるとさらに皮膚の老化が進んでしまうので、日ごろから予防が重要となります。

 

できてしまったら

鑑別した後は治療となりますが、治療も現在は多様化しています。
①〈内服治療〉抗酸化力を持つ、ビタミンCやEを内服すると、皮膚内で発生する活性酸素を効率よく取り除きメラニンの産生を抑えます。トラネキサム酸は抗プラスミン作用によりメラニンの生成を抑えます。また、グルタチオンやシステインの内服も有用とされます。

②〈点滴療法〉抗酸化力の強いビタミンCを中心に、元々皮膚内に存在しているグルタチオンやシステインを点滴します。グルタチオンやシステインはそれ自体も抗酸化力を有しますが、摂取されたビタミンCやEなどもサポートし皮膚の酸化ストレスからの障害を予防・改善します。

③〈外用療法〉外用療法にはサンスクリーンなど日ごろの予防も含まれます。さらにビタミンCを中心としたイオン導入や、古い角質を除去し表皮のターンオーバーを改善するピーリングなどがあります。ピーリングも目的に応じて薬剤を変更して施術しますので、施設により方法が異なります。さらにハイドロキノンやコウジ酸などの外用薬も効果があります。

④〈レーザー治療〉IPL(intense-pulsed light)やレーザー治療は、光エネルギーをメラニン顆粒やそれを含んだ細胞に吸収させ、そのターゲットを熱エネルギーやショックウェイブにより破壊することで治療します。治療に使用されるレーザーはルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Nd:YAGレーザー、dyeレーザー、IPLなどがあり疾患により適応が異なります。
一般的に「シミ」とは様々な色素斑が含まれますので、鑑別することが重要です。専門の医師にご相談いただくことをお勧めします。