ぷらざINFO/信州人

しなの鉄道軽井沢駅 駅長 守屋 芳典さん

もりや よしのり 1971年松本市生まれ 駒澤大学経済学部卒業 1999年4月しなの鉄道株式会社に入社し、2012年より観光列車「ろくもん」立ち上げに携わる 2014年ろくもんセンター配属 2018年軽井沢事業推進室配属 2021年しなの鉄道軽井沢駅 駅長に就任

 

 列車への憧れとともに

野球と列車が好きな少年でした。小学4年生の時に始めた野球は、中学・高校と野球部に所属し、大学時代もサークル活動として続けました。電車に乗るのも好きで、幼い頃母親の実家がある千曲市を訪れた際に篠ノ井線姨捨駅から見た雄大な景色に感動し、「スイッチバック」にワクワクしたのを今でもよく覚えています。
大学卒業後に入社した企業では、営業として北海道と九州エリアを担当することになり、憧れのJR九州の列車に乗車する機会にも恵まれました。斬新なデザインと心地よい空間に、「こんな素敵な列車を作れたら」と感じたこともありました。

 

真田家の家紋である「六文銭」から命名された観光列車「ろくもん」。長野県産食材にこだわった料理と客室乗務員のおもてなしが自慢です

 「ろくもん」誕生に向けて

縁あってしなの鉄道に入社し、様々な部署で経験を積んだ後、観光列車プロジェクトのメンバーになりました。構想段階で、当時の専務の同級生である元小布施町長 市村良三さんが水戸岡鋭治さんを紹介してくださいました。水戸岡さんと言えば、九州新幹線「つばめ」や「ななつ星in九州」のデザインを手掛けた日本を代表する工業デザイナー。そんな方に無理を承知で観光列車の話をしたところ、「高級志向を軸とした日本初の観光列車」という前代未聞の挑戦にご協力いただける夢のような話になりました。
最高の料理・サービスを提供する観光列車を目指し東奔西走する中で、「地域全体でお客様をおもてなしする」という理念に賛同してくださった企業様をはじめ、多くの方にご支援いただき、2014年に観光列車「ろくもん」は運行開始となりました。今までにない価格設定ということもあり、なかなか認知されず、運営的に苦しい時期が続きました。「始まったばかりだ。気にするな。とにかく頑張れ」という温かい言葉に何度救われたか分かりません。そんな中、ゆったりと景観を楽しみながらこだわりの食と空間を満喫できる魅力が2015年にTV番組で取り上げられると、視聴者から大きな反響が得られました。その後は知名度も向上し、特別な時間を過ごせる観光列車として多くの方に愛されるようになりました。
「列車に乗る前から乗客をワクワクさせる必要がある」という水戸岡さんのアドバイスから、軽井沢駅にろくもん専用の待合室としてラウンジを設け、地域の名産を集めた商業施設もオープンさせました。
2017年7月の信州デスティネーションキャンペーンでは、「ろくもん」が篠ノ井線経由で塩尻まで走りました。自分の生まれ育った故郷に自分がプロジェクトに携わった「ろくもん」が走る…、何とも言えないとても感慨深い瞬間でした。

 

休日は趣味のジョギング。マラソン大会にも参加しています

 軽井沢駅 駅長として

2021年4月、軽井沢駅 駅長に就任しました。鉄道会社の責務である「鉄道を安全に運行させること」を基本に、より楽しんで乗車していただける環境作りにも取り組んでいきたいと考えています。
休日はジョギングをしたり、薪ストーブ用の薪割りをして過ごしています。仕事で必要とされる真面目な固い思考と柔軟性のある柔らかい思考を養うのに丁度よい息抜きのひとときになっています。