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マスターズ陸上3000m競歩 W35(35〜39歳)クラス日本新記録 野池 裕子さん

のいけ ゆうこ 1983年佐久市浅科生まれ 長野県野沢南高等学校陸上部で長距離と競歩を始める 高校在学中にインターハイ、国体に出場 国士舘大学2年で競技を引退 結婚、出産を経てランニングを再開 2022年10月「長野マスターズ陸上競技長野市大会」に出場し35〜39歳クラス日本新記録で優勝 「2022松本マラソン」女子年代別の部6位入賞

 

  走って登校が走りのルーツ

幼少期はルーズな性格で、朝は遅刻ギリギリ。小学校まで3km、上り坂の通学路を毎朝走って登校していました。今考えると「自分の走ることのルーツは小学生時代かな」と思います。中学校には陸上部が無く、高校では長距離に挑戦したいという思いから念願の陸上部に入部。適性があるとの理由から競歩にも取り組みました。地道な努力で順調に力を付け、高校2年・3年時には競歩でインターハイや国体に出場することができました。卒業後は国士舘大学陸上部で競技を続けたのですが、環境の変化により集中して練習に打ち込むことができず、記録も伸び悩み、2年時に競技を引退。ひたむきに努力する姿勢が未熟だったように思います。

大学卒業後、看護学校に進み看護師として就職しました。その後結婚し、1人目の子どもを産んでからも陸上との関わりはありませんでした。この頃、テレビで駅伝などを観ると、挫折した思い出や悔しさが込み上げてきたのを今でも覚えています。

 

  記録よりも楽しむことが一番

所属する「創錬の森健康ランニングクラブ」の仲間たち

転機が訪れたのは2人目出産後の34歳の時。出産のタイミングで佐久市に引っ越すことになり、仕事も辞め、住まいも変わり、2人の育児と家事に専念した結果、心身ともに不調が続くように。一人になれる時間がほしいと思い、手っ取り早い方法として始めたのが早朝の10分間のウォーキングでした。しばらくして「軽井沢ハーフマラソン」に誘われたのをきっかけに練習で走る中、それまで抱えてきたモヤモヤが吹き飛び、前向きに物事が考えられるようになりました。高校・大学時代に陸上をしていた時とは違う感覚で、純粋に走ることが楽しくてますます熱中。続けるうちに中性脂肪の値が半分になり体型も変化。睡眠の質も良くなり疲労が溜まりにくくなったと実感。体は歳とともに衰えるはずなのに、逆に進化しているように感じ、心身共に良いことづくしで人生が好転していきました。

ランニングを再開してから5年。月1回マラソン大会に出場し、2022年は野辺山の「100kmウルトラマラソン」も完走。フルマラソンのベストは3時間25分33秒。月に300km走るのが目標です。頑張ればタイムは速くなりますが、今は「そこはおまけ」と考えて楽しむことを一番に取り組んでいます。そんな中、「30代で何かを残したい」という思いもあり、今回日本新記録を出したマスターズの陸上大会に挑戦しました。39歳はラストチャンスということもあり、記録更新も狙い臨みました。

 

  ランニングの魅力を伝えたい

職場のランニング部の仲間と。「2022松本マラソン」全員完走!

ランニングは一人でも楽しめますが、仲間がいれば楽しさの幅が広がります。ランニングを通しての出会いもあり、2021年から職場や地域でランニングクラブを立ち上げました。一緒に走る仲間が増え、走ることがもっと楽しくなりました。看護師の視点から予防医療の意味でもランニングの魅力を伝えていきたいと思っています。

子育てが落ち着いたら指導もしてみたいと思っています。夢中になれるものに出会えたこと、理解し応援してくれる家族に感謝しながら、これからも健康と向き合い、チャレンジを続けていきたいです。