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(2014年7月3日)
●おもいつき農園オーナー 森角 忠さん
1950年佐久市岩村田生まれ 学校卒業後、家業の森角建材店を継ぎ、建材・設備の仕事に携わる一方で、2004年から「おもいつき農園」を整備 自宅でミズバショウの苗を育てるほか、カワニナやホトケドジョウも育てている
子どもの頃は佐久市一帯にも、昆虫や魚の棲む自然がいっぱいでした。自宅の近くにも沢があって、ホタルやトンボは毎年たくさん飛んでいました。子どもの遊び相手といえば、サワガニやカブトムシ、オニヤンマ…。どこの木にどんな虫がいるか、子どもたちは皆、よく知っていて、学校から帰ったらすぐに採りに出かけていたものでした。特にカブトムシは虫の王様。早朝にいることは知っていましたから、夏休みには人より早く起きて、ラジオ体操の前に林に出かけては、捕まえていました。好きだったというより、それが普通で、自然が唯一の遊び場だったんですね。 それが近年、水路がコンクリートになったり、農薬が散布されるようになったり、農業の在り方が変わるにつれ、虫たちの生態も変わってしまいました。
知り合いを通じて、鼻顔稲荷神社近くの土地を紹介してもらったのが10年ほど前のこと。最初は田んぼをつくろうと思っていたのですが、その場所に豊かな湧水が出ていることを知り、作物よりむしろ「どんなものが育つかやってみよう」という興味が湧いてきました。 始めに植えたのは、白馬村に自生していたミズバショウの苗。毎年種を採って自宅のプランターで一定期間育てており、初年度に200株ほどだった苗も、今では数えきれないくらいに増えています。水辺にはアマガエルや、オニヤンマなどのトンボがやってきますし、水生の植物も豊かに育ちます。「農園」と名前は付いていますが、むしろ自然そのままの、ビオトープのようなものですね。 仕事の傍ら、空いた時間に農園を整備しているので、ひとりではとても追いつきません。3年ほど前からは小・中学校時代に同級生だった山口幸秀さんにも協力してもらいながら、ミズバショウを増やし、虫たちが住みやすい環境を整えています。まだまだ手は足りないので、興味のある人に手伝っていただけたらと常々思っています。
餌となるカワニナを稚貝から育てて、ホタルも少しずつ呼び寄せています。10 年前は数匹だったホタルも、昨年の多い時には300匹が飛ぶほどに。今年も6月下旬から7月上旬にかけて出てくると思いますよ。 また、昨年からは蝶が育つための木も少しずつ植えて増やしてきました。例えばエノキにはオオムラサキ、クララにはオオルリシジミ、カラタチやサンショウにはアゲハチョウと、蝶の種類によって、幼虫の餌となる木の葉は違うので、まだまだ種類と数を増やしたいと思っています。安全面などの課題はありますが、将来的にはこの農園が、子どもたちが虫やさまざまな生き物と、ごく自然に触れ合える場所となり、お金では手に入らないものを子どもたちに残せたらいいなと思っています。
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森角 忠さん
1950年佐久市岩村田生まれ 学校卒業後、家業の森角建材店を継ぎ、建材・設備の仕事に携わる一方で、2004年から「おもいつき農園」を整備 自宅でミズバショウの苗を育てるほか、カワニナやホトケドジョウも育てている
自然が遊び場だった子ども時代
子どもの頃は佐久市一帯にも、昆虫や魚の棲む自然がいっぱいでした。自宅の近くにも沢があって、ホタルやトンボは毎年たくさん飛んでいました。子どもの遊び相手といえば、サワガニやカブトムシ、オニヤンマ…。どこの木にどんな虫がいるか、子どもたちは皆、よく知っていて、学校から帰ったらすぐに採りに出かけていたものでした。特にカブトムシは虫の王様。早朝にいることは知っていましたから、夏休みには人より早く起きて、ラジオ体操の前に林に出かけては、捕まえていました。好きだったというより、それが普通で、自然が唯一の遊び場だったんですね。
それが近年、水路がコンクリートになったり、農薬が散布されるようになったり、農業の在り方が変わるにつれ、虫たちの生態も変わってしまいました。
自然のままに植生を整備
知り合いを通じて、鼻顔稲荷神社近くの土地を紹介してもらったのが10年ほど前のこと。最初は田んぼをつくろうと思っていたのですが、その場所に豊かな湧水が出ていることを知り、作物よりむしろ「どんなものが育つかやってみよう」という興味が湧いてきました。
始めに植えたのは、白馬村に自生していたミズバショウの苗。毎年種を採って自宅のプランターで一定期間育てており、初年度に200株ほどだった苗も、今では数えきれないくらいに増えています。水辺にはアマガエルや、オニヤンマなどのトンボがやってきますし、水生の植物も豊かに育ちます。「農園」と名前は付いていますが、むしろ自然そのままの、ビオトープのようなものですね。
仕事の傍ら、空いた時間に農園を整備しているので、ひとりではとても追いつきません。3年ほど前からは小・中学校時代に同級生だった山口幸秀さんにも協力してもらいながら、ミズバショウを増やし、虫たちが住みやすい環境を整えています。まだまだ手は足りないので、興味のある人に手伝っていただけたらと常々思っています。
子どもと自然が触れ合える場所に
餌となるカワニナを稚貝から育てて、ホタルも少しずつ呼び寄せています。10 年前は数匹だったホタルも、昨年の多い時には300匹が飛ぶほどに。今年も6月下旬から7月上旬にかけて出てくると思いますよ。
また、昨年からは蝶が育つための木も少しずつ植えて増やしてきました。例えばエノキにはオオムラサキ、クララにはオオルリシジミ、カラタチやサンショウにはアゲハチョウと、蝶の種類によって、幼虫の餌となる木の葉は違うので、まだまだ種類と数を増やしたいと思っています。安全面などの課題はありますが、将来的にはこの農園が、子どもたちが虫やさまざまな生き物と、ごく自然に触れ合える場所となり、お金では手に入らないものを子どもたちに残せたらいいなと思っています。