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しなの鉄道株式会社 代表取締役社長 玉木 淳さん

1たまき あつし 1970年新潟県新潟市生まれ 上智大学経済学部卒業 1993年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社 本店広域法人部等を経て、2016年しなの鉄道代表取締役社長として出向 中小企業支援をテーマに地方創生の最前線に立つ48歳

 

末っ子流処世術

保険会社からの出向の形で、しなの鉄道社長に就任して2年が経ちました。出向先が鉄道会社というのは社内でも初めてのケースで、辞令を受けた時は心底驚きました。鉄道は人の命を預かる重大な仕事。使命感と同時に、責任の重さを痛感しました。
上田城近くの自宅から毎朝美しい山並みを眺めながら徒歩通勤しています。休日は妻と各地を巡り、沿線の魅力を探しています。転勤の経験は何度かありますが、妻が楽しそうに過ごしているのが嬉しいですね。
新潟県新潟市で生まれ育ち、6歳上の姉と4歳上の兄がいます。「褒められると伸びるタイプ(笑)」で、子供の時、何とか親に褒められようとトライするのですが、同じやり方では体格も能力が高い姉や兄に負けてしまう。「人が気づかない戦略を行えば小さい者でも大きい者に勝てるんだ!」人生の入口であみだした末っ子流処世術が、常に柔軟で斬新な切り口で考える感覚や、諦めない性格に結びついたのかもしれません。それ以来、人ができないことにチャレンジすることが好きになりました。

 

「人の想い」に寄り添うこと

小学校ではサッカー、中学・高校は卓球、大学ではテニスサークルに所属しました。学生時代はバブル全盛期。フランス料理店など外食系のアルバイトに真剣に打ち込んだことで、単なる時給稼ぎのバイトではなく、どうしたらお店が繁盛するのか、お客様を満足させられるのか、相手の「想い」に寄り添い、相手目線で努力する大切さを、早くから知ることになりました。相手の想いを叶えるために自分は最大限の努力をしているだろうか、保険会社時代も、現在も、常にその問いを仕事の心棒にしています。
鉄道のイロハも、地域のことも素人でしたので、胸を開き謙虚に聞くことが一番の戦略と、社長就任直後、管理者以外の240名の社員と15分ずつ、延べ107時間に亘る面談を行い、会社を良くするためのプランを語ってもらいました。素晴らしい社員が沢山いることを実感できたことが何よりの財産です。「彼らが15年後に困らないよう、いま打てる手を打つ」。自分が経営者として進むべき方向と覚悟が決まりました。

 

信州の魅力を伝えたい!

観光列車「ろくもん2号」の食事提供店「小布施 鈴花」にて

観光列車「ろくもん2号」の食事提供店「小布施 鈴花」にて

温泉・農産物・ワイン・日本酒…知れば知るほど、長野県は魅力に満ち溢れています。それなのに軽井沢を訪れる年間840万人の観光客の大半が日帰りとは、本当にもったいない。沿線自治体と一致団結して新味のある戦略を立てれば、まだまだマーケットを掘り起こせるはず。謙虚さは信州人最大の美徳ですが、ときにはご自慢も大切です(笑)。
20周年事業として軽井沢駅を大幅にリニューアルしました。軽井沢は信州の玄関口。その先に待っている「素敵な日本に出会う旅」を、ぜひ大勢のお客さまに教えてあげたい。まずは軽井沢駅3階に新設した名店街「しなの屋 KARUIZAWA」や、週末を中心に開催する沿線農産物のマルシェを通して、沿線地域の底力をアピールしていきたいですね。

千曲市あんずの里にて奥様と

千曲市あんずの里にて奥様と