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第28回信州の味コンクール創作ふるさと料理の部最優秀賞(県知事賞)受賞 土屋 しのぶさん

25年前に直売所を開店

「自分たちで作ったものは自分たちで売りたい」と、平成7年に農家のお嫁さん仲間と「こまがた直売所」を開店しました。夫には「恥ずかしいからやめなさい」と言われましたが、単身赴任をしている隙に始めてしまいました。朝採りの野菜を並べた10坪ばかりの小さな掘っ建て小屋からのスタートでしたが、ある時お客さまから、「地元の料理が食べたい」と言われたのをきっかけに、直売所隣の花工房を改築して食堂を始めました。ちょうどその頃望月のご当地グルメ「駒月みそかつ丼」が誕生したので、お店の看板メニューに据え、郷土料理と一緒に提供するようになりました。地産地消で野菜の美味しさを伝えたいと思い営業しています。
農業委員をしていた縁で、親子を対象とした食農教育にも取り組むようになりました。お店の裏にある「わくわく農園」で野菜を作り、子どもが喜ぶ料理の教室も開催。参加したお母さんたちは、「自宅の庭でジャガイモ作りに挑戦した」、「子どもと一緒に料理を作ったら苦手な野菜を食べてくれた」と喜んでくださっています。今は何でも手軽に買って食べられる時代になりましたが、保存料の入った食品と、手作りした料理の味は違います。楽しみながら手作りの美味しさを伝えていきたいと思います。

信州の味で最優秀賞

「信州の味コンクール」には15年ほど前から毎年出品しています。佐久らしいユニークなものをと、鯉の唐揚げを挟んだ鯉バーガーを出品したこともありました。平成17年にはグループで出品した「浅蓼漬」(人参・生姜・ミョウガを青じそで巻いて瓜に詰めた漬け物)で最優秀賞をいただきましたが、個人での最優秀賞は今回が初めてです。まさかいただけるとは思っていなかったので驚きました。いつも辛口な審査委員長が、今回はものすごくほめてくださってとても嬉しかったです。今回のコンクールが28回だったので、30回までは出品したいなと思っています。
受賞した「長者原キャベツの肉巻きフライ 雁喰(がんくい)味噌のソース添え」は、「とんかつは食べにくい」という子どもや高齢者が美味しく食べられるようにと考えたメニューです。パン屋さんの生パン粉を使い、衣はカリッと歯ざわり良く、野菜は生の状態で巻くことで甘さを引き出し、シャキシャキの食感も生かしています。地元望月の「雁喰味噌」を使った特製ソースも特徴です。もちろん食材はすべて地元産。味処こまがたで提供しています。

受賞料理は土屋さんのお店
「味処こまがた」で味わえます
(定食で800円)
最優秀賞を受賞した
「長者原キャベツの肉巻きフライ
雁喰味噌のソース添え」

本物の味を伝えたい

直売所の開店から25年、仲間も高齢化して運営に苦労することもありますが、直売所は定年退職した夫が会計係を引き受けてくれているので二人三脚で頑張っています。体調と相談しながら続けていきたいです。
農業や食に携わり感じるのは、「食べることは一番大事」ということ。子どもの味覚は3歳までに決まってしまうとも言われています。安心安全な地元産の食材を使ったメニューや、季節ごとの料理教室で子どもたちに本物の味を少しずつでも伝えていきたい。食を通じて、健康や食文化を伝えることができれば嬉しいです。