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第32回時計技能競技全国大会第1部門 優勝      木下 啓貴さん

きのした よしき 1998年佐久市香坂生まれ 佐久総合技術高校機械システム科卒業後シチズン時計マニュファクチャリング株式会社ミヨタ佐久工場入社 製品部ミヨタ製品課勤務 入社2年目に技能五輪・時計技能競技全国大会出場候補者に選ばれ訓練を経て大会に出場 第32回時計技能競技全国大会第1部門優勝

 

高校2年時に入社を志望

小さい頃からジグソーパズルや物を組み立てて遊ぶことが好きでした。母親が御代田精密株式会社(現・シチズンファインデバイス株式会社)で製品作りをしていたので、話を聞く機会があり時計製造に興味を持ちました。佐久総合技術高校2年生の時に「ぞっこん!さく市」で、実際に時計の分解や組み立てを見たことで、よりやってみたいという思いが強くなりました。念願の企業に入社し、現在は製品部ミヨタ製品課で腕時計製造の最終工程である完成品の組み立てを行っています。

入社2年目の年に技能五輪・時計技能競技全国大会出場候補者に選出され、飯田工場で組み立て業務を担いつつ、訓練を重ねました。入社試験の面接の際に、「やるからには技術を極めて技能五輪や時計技能競技全国大会に出場したい」とアピールしていたので、念願叶っての出場でした。

 

悔しさをばねに優勝!

競技に取り組む木下さん。上司の石原さんは「センスと技術を生かして後輩を育成してほしい」と期待します

今年2月に開催された「時計技能競技全国大会第1部門」は、全国から時計メーカー社員、時計専門学校、修理会社、時計店の方などが集まる大会で、アナログ水晶腕時計(クオーツ)と機械式腕時計の2種類を分解、洗浄し、故障・不具合を見つけて修理し、組み立てる作業を制限時間内に行い、完成度を競うものです。技術はもちろん、スピードも重要になるので、時間を意識しながら挑みました。3ヶ月前の2019年11月に出場した技能五輪全国大会は9位という結果で、入賞もできずとても悔しい思いをしたので、「今回は絶対に優勝するぞ!」という強い気持ちで臨みました。技能五輪の時は機械式時計の作業に時間がかかり足を引っ張ってしまったので、作業スピードをあげることを課題とし、自主的に残って訓練するなど、作業量を増やして自信につなげました。悔しさがあった分、優勝したときは嬉しさも大きかったのですが、技能五輪でも入賞したかったというのが本音です。

会社では選手のOBが訓練時の指導者になるのですが、同じミヨタ佐久工場出身で技能五輪3位、時計技能競技全国大会準優勝の経験を持つ憧れの先輩・塩沢和明さんが指導してくれました。技術だけでなく、大会の雰囲気や選手として競技に参加した時の気持ちなど、経験者ならではのアドバイスをいただいたことで、平常心を保ち臨むことができました。

 

次の目標は信州の名工

大会ではシチズン時計マニュファクチャリング株式会社から5名の選手が入賞しました

腕時計は内部が同じでも外装の違いで個性や特色が出るところに魅力を感じます。競技を経験して時計を一から組み立てる楽しさを知りました。今は完成品の組み立てを担当していますが、時計の中の部分もやってみたいですし、古い時計にも興味があります。いつかはオリジナルの時計も作ってみたいです。プライベートでの趣味はジグソーパズル。最近はレジンでキーホルダーを作ることにも興味を持っています。

今回の優勝で入社時の目標がひとつ達成できました。次の目標は社内制度のひとつ「マイスターを取ること」と「信州の名工になること」。今後は地域貢献活動にも積極的に取り組み、さらなる技能・技術の向上を目指して頑張りたいと思います。