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令和元年度 介護老人保健施設事業功労者       厚生労働大臣表彰受賞 鷹野 加代子さん

たかの かよこ 1960年佐久市生まれ 佐久総合病院老人保健施設介護福祉士・主任 保育士を経て介護福祉士となり26年 ケアマネジャーの資格を有し認知症者フロアに勤務 実習生の指導にも携わっている

 

保育士から介護福祉士へ

前職は保育士で結婚を機に退職。上の子が小学1年生、下の子が年中になった時に復職を考えましたが、保育士の採用に空きが出なかったため、「介護職で人手を募集している」と聞き、挑戦してみることにしました。1年半ほどデイケアの仕事を経験しましたが、歌や手遊びなど保育の仕事につながるところも多く、仕事に充実感も感じたため、33歳の時に現在の勤務先の臨時職員として働き始めました。

介護の仕事に就いて今年で26年。10年ほど前からは認知症者のフロアに勤務しています。大変なことも多いですが、自分が暗い顔をしていれば利用者の方も近寄りがたく感じてしまうので、どんな時でも利用者の方一人ひとりに合わせた接し方を考え、寄り添うケアを心がけています。認知症の方は「困るのにも意味がある、歩くのにも意味がある」と言われるように、全ての行動に意味があります。心穏やかに過ごしていただくために、その時の状況に合わせて担当者や時間を変えるなど、仲間と協力しながら業務にあたっています。

 

心の通ったあたたかいケアを

明るい性格で人を楽しませる雰囲気づくりが上手な鷹野さん。利用者さん、ご家族からの信頼も厚い

年に1回、全国老人保健施設協会の研究発表会が開催されていますが、一昨年は大会のなかで座長を務め、運営にも携わりました。「介護者と利用者、双方にとってより良いケアとは何か」を日々考える中で、国内のどの施設も一生懸命取り組んでいることを知り、様々なヒントから多くを学び発見する良い機会になっています。

介護者として長く勤務していますが、いまだにうまくいかないこともあります。利用者の方から学び、みんなで試行錯誤しながら次につなげていけるように努力しています。緊張している方に笑顔が見られたり、できなかったことが少しできるようになったりなど、ささやかな変化がとてもうれしく感じられます。ある方の最期の瞬間に「あなたで良かったよ」と言っていただいた時に大きなやりがいを見出しました。「ケア=心」を信条に、日々取り組んでいます。

仕事では実習生への指導にも携わっています。「介護職は大変」とよく言われますが、昔に比べるとずいぶん良くなりました。人員面など課題は多いですが、若い人を中心に介護の現場を変えていってもらいたいので、年の功をいかした指導ができればと思っています。

 

育ててもらった環境に感謝

大分県で開催された令和元年度 介護老人保健施設事業功労者厚生労働大臣表彰式

数年前に母親を看取りました。病院から家に連れて帰ったとき、母親の表情が変わり、元気な様子を見せてくれたことは今も忘れられません。実家には迷惑をかけたと思いますが、この仕事をしていたからこそ体験できたことだと感謝しています。

今回の厚生労働大臣表彰は、実習生の指導や全国老人保健施設協会研究発表会運営などの功績が評価されたもの。施設の仲間や利用者に支えられ、育てていただいたお陰でここまでやってこられました。あと1年で定年を迎えますが、ケアマネジャーの資格を持っているので、定年後はケアマネとしての仕事にも挑戦したいと思います。

趣味は年に数回友人と行くゴルフとフィットネスジムでのトレーニング。気持ちよく体を動かし、ストレス解消しています。