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JA長野厚生連 佐久総合病院 統括院長 兼 本院院長 渡辺 仁さん

わたなべ ひとし 1960年群馬県生まれ 群馬大学医学部卒業後群馬大学医学部附属病院脳神経外科入局 1987年佐久総合病院脳神経外科赴任 その後、複数の病院勤務を経て1992年佐久総合病院脳神経外科勤務2014年佐久総合病院佐久医療センター院長に就任 2020年4月佐久総合病院統括院長兼本院院長に就任

 

頼りになる「お医者さん」

子どもの頃は父親の転勤の関係で群馬県内を転々としていました。小学生のときに原因不明(と当時は思っていました)の痛みと熱が続き、村にあった近くの診療所で受診。総合病院までバスで1時間ほどかかるところに住んでいたので、その診療所ですぐに手術をしてもらい楽になったのを覚えています。原因は「粉瘤」という良性の皮膚腫瘍で、切開して膿を出す手術でしたが、医師の見立てや手術後の痛みの緩和などをこのとき体験し、「頼りになるお医者さん」に出会えたことが、医者を目指す最初のきっかけになったのだと思います。
学生時代は野球に熱中しました。近所に牧場があったため、牧場勤務や野球選手などいろいろな職業にあこがれを持った時期もありましたが、様々な職業の中から「医者」を選んだのは、小学生のときの体験と、何か人の役に立つ、人を救えるような仕事がしたいという思いからでした。

 

毎年開催している野球大会の様子。 今年は中止となりましたが、院内外の方との交流に欠かせない役割を担っています

今できることを全力で
佐久総合病院には合計すると約30年勤務しています。自分がやりたいと思った仕事をしているので「大変」と思うことはあまりありませんが、自分が想定したよりも患者さんの回復に時間がかかったときや、技術が足りず十分な処置ができなかったときのことは今も心に残っています。一方で、諦めるしかないような状態にいた患者さんが回復したときは、何にも代えがたい大きな喜びを感じさせていただいています。日常の繰り返しの中で一喜一憂せずに、一つ一つのことに淡々と向き合っていくことが大切なのだと思いながら仕事をしています。
現在、佐久地域の人口は減少傾向にあり、高齢化が進んでいます。医療と行政が連携し、地域住民の皆さんにも参加していただきながら、地域の皆さんの健康と医療を守る体制づくりをしていきたいと考えています。
毎朝愛犬と散歩をするのが日課で、これからの季節は庭の手入れも楽しみの一つ。家族と分担しながら庭をきれいにしています。「嘘をつかない・悪口を言わない」を心がけて毎日を過ごしています。

 

 


 

新型コロナウイルス感染症について

佐久地域では今のところ新たな感染者もなく、比較的穏やかな状況が続いていると感じています。ただし、今後いつ感染者が出てもおかしくない状況ではありますので、日頃から感染予防対策をしっかりと行い、「もしかしたら近くに感染者がいるかもしれない」という気持ちで行動していただきたいと思います。
佐久総合病院でも、不要不急の入院患者への面会の禁止や、病院を利用される方には、体調確認などをお願いしています。感染拡大や院内感染を防ぐため、また、入院患者や看護師などスタッフを守るための対策ですので、ご理解をいただきたいと思います。
私たちができることは、報道でも繰り返しいわれている

・こまめな手洗い
・マスクの着用
・ソーシャルディスタンスを保つ
・3密(密接・密閉・密集)を避ける

の4つです。一人一人がきちんと心得て、大きな流行にさせないことが大切です。
医療現場では今年の冬の懸念をしています。新型コロナウイルス感染症が収束しないまま冬になり、インフルエンザの流行時期を迎えると、医療現場は大変な混乱に陥る可能性があります。新型コロナウイルス感染症なのか、インフルエンザなのか、同じような検査が必要になるからです。佐久総合病院でも冬に備えた準備を始めています。完璧に防ぐことはできないとしながらも、万全の対策を講じて感染拡大をくい止める方策を考えています。
今、世界中が大きな変革の時期にあります。テレワークやオンラインも身近になりつつある今、「アフターコロナ」を見据え、社会や医療も変えていかなければならないと考えます。