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小諸市観光協会長 大西 崇弘さん

大西 崇弘さん●小諸市観光協会長

大西 崇弘さん

 

1947年大西製粉の4代目として小諸市相生町に生まれる 小諸商業高校、専修大学卒業後、地元に戻り家業を担う 1995年こもろ観光ガイド協会理事、2005年より同会長 2011年より小諸市観光協会長を務める

 

明治創業の粉屋の4代目

家業の「大西製粉」は小諸で100年以上、石臼挽きそば粉などを扱って小学生時代、相生町の自宅前できた粉店。2年前から息子が5代目を引き継いでいます。今は佐久市伴野に抜ける県道沿いに店を構えていますが、創業当初は小諸城大手門そばにあったそうです。その後、大正3年に引っ越しをして、自分が生まれた時は小諸市役所の近く、駅前相生町を上がったところが自宅でした。隣は文豪・島崎藤村が、小諸義塾の教師時代に暮らしていたという家。藤村は大正時代には既に上京していたので、父や祖父も面識はなかったようですが、当時の地図には、藤村がモチーフにした我が家の水車小屋が記載されています。そして小屋の隣には藤村旧棲地の碑が建っていて、誇らしく思ったものです。

 

枠を超えて観光に取り組む

地元の観光に携わるようになったのは、父の仕事を引き継ぎ、JCや商工会議所の議員になってから。商議所にはいくつかの委員会があり、商店の経営者は「商業委員会」に入るのが一般的なのですが、同時にホテルなどの観光業者が多い「観光委員会」にも入りました。地元を賑やかにするためには、工業も商業も枠を超えて、魅力的な町づくりが必要だと思ったので。

18年前に発足した「こもろ観光ガイド協会」では、理事として運営に携わりつつ、ガイドの資格も取りました。これはたまたま、ガイドを養成する講座の講師として、中学時代の恩師が来られたのがきっかけでした。会場までの送り迎えを申し出て、講義の間待っているうちに、つい面白くて小諸市史を覚えてしまったのです(笑)。

 

ゆかりの武将の魅力再発見

小諸の魅力を発信するために市内外で活躍中今、興味を持っているのは信濃小諸藩の初代城主・仙石越前守秀久。勇壮な風貌を織田信長に気に入られ、豊臣秀吉の最古参の臣下に任じられたとか、浪人時代に徳川家康から推薦を受け、小田原攻めで活躍したとか、さまざまなエピソードがあります。知略はともかく、時の権力者を惹きつける人間的魅力に満ちた人物だったようです。地元であまり知られていない秀久について、物語の冊子を作ったり、ゆかりの品を展示したりして、もっとPRしていきたい。歴史的つながりの深い上田市や仙石氏ゆかりの出石町(兵庫県豊岡市)とも連携して、鎧の展示や歴史イベントなども開きたいと考えています。
特に今年は、小諸城の大手門が完成して400年を迎える節目の年。10月に開く「信州小諸ふ~どまつり」と同時開催で、記念イベントのアイデアがどんどん出ているところです。上田市から真田鉄砲隊が来てくれるので、小諸市側も甲冑隊を何とかしようと今から秋に向けて毎週1回有志で集まり、鎧作りに精を出しています。ボール紙で切り貼りしていくんですが、これがまた大変なんですよ(笑)。

 

町の中の宝物を生かして

子ども時代には「商都小諸」の名が近隣に轟き、賑やかな町並みが続いていましたが、最近は後継者問題などもあり、町中の活気が薄れているように思います。本陣や脇本陣、古い町並みなど、歴史ある町の中に「お宝」がたくさん眠っているので、この価値を生かし、個性と魅力のある町づくりを進めていきたい。「観光」とは「光を観る」と書きますが、「感じる幸せ」と書くのも「かんこう」。地元の人が町を愛し、楽しみながら活性化に励むことで、訪れた人も幸せを感じてくれるはず。そんな良いスパイラルを作っていきたいと思います。