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信州の酒PR大使 由井 志織さん

2013きき酒選手権で優勝

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 大学生の頃から自分なりの「味比べ」をしていて、味覚には自信がありました。主人の後押しもあり、2012年に初めて「全国きき酒選手権」に挑戦したのですが、その時は惨敗でした。お酒も好きで自信があっただけにとても悔しくて、次の年も絶対出ようと決意しました。

日本酒は使っているお米と酵母が同じでも、蔵が違えば味も香りも違います。同じお米でもブドウの香りがしたり、バナナの香りがしたり。その日飲んだお酒の特徴やキーワードを記録しながら、香りや味の微妙な違いを覚えました。

お酒はそこまで強くないので、量は飲みませんが、こっそりビール(笑)で始まり、日本酒を毎晩飲んでいます。全国大会の前には、趣味の延長ではなく勉強として「味をみる」取り組みを始めましたが、そのとたん、味が分からなくなったこともありました。緊張感から解放された今は毎日楽しみながら飲んでいます。日本酒はもちろんビールやワインも大好きです。

 

「味比べ」を楽しんだ大学時代

 大学生の頃に楽しんだのは「味比べ」。人に食べ物をすすめる時、確実に美味しいものを紹介したいというのがきっかけでした。たとえばお醤油を2種類買い、どちらが美味しいか自分なりの優劣をつけたり、各食品のナンバーワンを探すなどしていました。「どうやって味覚を鍛えたんですか?」とよく聞かれますが、この「味比べ」が役に立っているのかなと思います。

父によると、小さい頃から物を食べる時にじっくり見たり味わったり、時間をかけて食べていたそうです。また、母の料理は化学調味料を一切使わないシンプルな味つけで、出来合いのものはほとんど食べたことがありませんでした。幼い頃の食生活も味覚を敏感にした要因かもしれません。

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美味しさを引き出す酒器を開発

昨年末、日本酒用の酒器「酒の香唎(かき)く」を作りました。日本酒は飲む器で味や香りが大きく変わります。しかし、器の研究があまりされていないのがもったいないと思い、「日本酒を一番美味しくする器」を作ることにしました。理想的な薄い磁器を制作するために窯元探しから始め、美濃焼の窯元に製造を依頼。試作品を3Dプリンターでいくつも作り、修正を重ね完成させました。

日本酒は香りも楽しんでこそ美味しいと思うのです。香りを湧き立たせるよう底を盛り上げ、華やかな香りを届ける高さ、鼻と口がすっぽり収まる飲み口の大きさなどにもこだわりました。味も香りも全部吸収しようという思いで作った器です。日本酒にこだわる人の家にはひとつある、という存在になるよう広めていきたいです。

2020年には東京オリンピックが開催されます。高校生の時に熱気を体感した長野オリンピックの誘致に伯父が携わっていたこともあり、オリンピックへの思い入れは人一倍強いと自負しています。世界中から人が集まる時に、日本の誇れる日本酒を一番美味しい状態で味わってもらうのが私のやるべきことと勝手に背負っています。器に限らず、日本酒の美味しさを引き出す方法を、これから日本中の人に伝えていきたいと思っています。