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佐久医師会会長 多田 博行さん

入院がきっかけで医師を志すsnb01

 小さい時から病弱なほうで、しばしば医者にかかるような子どもでした。高校2年生の時、体調を崩して入院したのをきっかけに、医者になりたいと思うようになりました。平たく言えば病気で困っている人を助けたいという気持ちからです。

医学部時代は6年間弓道部に所属。身体が丈夫ではなかったので、スポーツをやってみたいと思い始めました。関東医科学生弓道大会で個人優勝したことが誇りです。人と話すことは好きなのですが、大勢の人の前で話すのが苦手で、それを克服したいと思い落語研究会にも入りました。しかし、弓道との両立は難しく、2年でやめてしまいましたが、良い経験となりました。

佐久総合病院の眼科医長として赴任した後、1997年に博愛眼科クリニックを開業し、18年が経ちました。出身は神奈川の大和市で、厚木基地から1キロくらいのところに実家があり、ひっきりなしに飛行機が飛び、いつも米兵が近くにいるような環境で育ちました。ですから沖縄の人の気持ちは十分理解できます。こちらに来て関東地方と比べ、夏の快適さと澄んだ空気に驚き、佐久が好きになり、ここで開業することにしました。

 

地方創生の鍵は地域医療

 佐久市は、全国でもトップクラスの平均寿命で、佐久総合病院の地域医療は国内や国際的にも有名です。健康に対する住民の意識レベルも高く、人口減少社会を迎えた今、佐久市における地方創生の鍵は、やはり医療にあると思っています。時間的に東京に近く、夏の快適さと充実した医療を生かして、定年退職後の移住者を呼び込み、佐久地域だけは人口が増えているような状況を作りたいですね。

人が集まるとそこで消費が盛んになり雇用が生まれるので、まずは人口を増やすことが重要ではないでしょうか。様々な運営形態の医療機関が連携することで、佐久病院だけの地域医療よりも対応力のある地域医療が可能ではないでしょうか。佐久なら安心、いい所だから行ってみたいと思ってもらえれば幸いです。

 

みんなが幸せになれる医療を

 医師会長としては、どんな科でも、診療に忙しくても、医師会の役員や会長になれる環境を作りたいと思っています。会長に集中していた職務をみんなで分け合い、「誰がやってもうまくいく」というシステムになれば、それが柔軟で最強の組織です。佐久医師会は、「全員参加の、住民へ目を向けた、地域医療を守る医師会」を目標に定め、様々な活動をしています。休日当番医、浅間総合病院内における休日小児科急病診療センターと平日夜間急病診療センター等であります。休日や夜間診療を分担し、医師みんなで助け合うことで、医師全体の負担を軽減し余裕ができれば、それが患者さんの幸せにつながると思います。

座右の銘は吉田松陰が好んだ「至誠にして動かざる者は、未だこれあらざるなり」。誠意を尽くして接すれば必ずわかってもらえる。わかってもらえないということは、自分の誠意が足りないということ。組織と組織、国と国との関係においても、同様のことではないでしょうか。

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