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信州小諸 峰の蕎麦会代表 大池 久男さん

リハビリ目的でそば打ち

snb_01そば打ちを始めたのは30代後半の頃。ギラン・バレー症候群という、筋力が低下する病にかかり、手が震えるなどの障害が身体に残ったため、リハビリ目的で始めました。母がそば打ちをする人でしたので、最初は母に教わりました。
15年ほど前、近所の高齢の方々から、「田んぼが維持できないから管理をしてもらえないか」という相談を受けたため、地域のそば仲間を集めて「蕎麦会(信州小諸峰の蕎麦会)」を作り、そば栽培を始めることになりました。小諸は浅間山の南斜面に位置し、火山土壌で排水が良いため、そばの栽培が昔から行われてきました。2014年のそば栽培面積は小諸全体で約100ha。蕎麦会では、昔からこの土地で作られてきた“小諸在来種”を主体に、現在2.5  haの畑でそばを栽培しています。
作付け面積が広がり、手作業ばかりでは大変になってきたため、平成20年度と23年度に「長野県地域発元気作り支援金」を活用して、そば専用乾燥機器や専用冷蔵庫を備えた製粉施設を建設しました。遊休農地の解消や小諸産そば粉のブランド化を目的に、土地に合う品種、種をまく時期などを研究しながら栽培を続けています。小諸は標高差が激しく、そば畑も低いところで600m、高いところで1300mと大きく異なります。それぞれの土地に合わせた工夫を施しながらより良いそばを作り、「小諸のそばっておいしいよね」と言っていただけるよう努力しています。

おいしいそばを振る舞いたい

2014年には、そば文化を発信する取り組みのひとつとして、「全日本創作そば料理コンテスト」に応募したところ、金賞を受賞しました。浅間高原で穫れるレタスを活用したいと思い、乾燥レタスを練り込んで打つそばを考案。茹でて冷水で締めたそばをオリーブオイルであえ、野菜やチーズと一緒にそばつゆで食べる、「浅間高原レタスそばカプレーゼ風」です。家族や仲間の意見を参考に、試作を重ねて作りました。そば料理はアイデアが浮かぶとスマートフォンにメモしています。2015年は松茸も豊作でしたので、今度は松茸を使ったそばができないかと考えています。
福祉施設でそば打ちのボランティアもしています。一度に大勢の人に出すため一気に茹でるのですが、どうしても麺がのびてしまいます。そこで、自家栽培している小麦粉の栽培品種をグルテンの強いものに変えて、こしが出るよう工夫しました。そばは品種の違いで味や香りが大きく変わりますし、打ち方も違ってきます。そこが面白いところですね。

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そば打ちで食育体験を

そばが打てるようになると、家族や友達が喜んでくれるので夢中になってしまいます。こだわる人が多いので、人との繋がりも広がり、私も全国にそば仲間ができました。これからはその仲間をさらに広げ、特に若い人、子どもたちに向けたそば打ち教室で、食育にも貢献したいと思っています。いずれはそば打ち体験施設も作りたいですね。99歳で他界した母よりも長くそばに関わっていたいというのが、私の人生、残りの夢です。