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宇宙飛行士 油井 亀美也さん

ゆい きみや

1970年川上村生まれ 野沢北高校を経て防衛大学校卒業 航空自衛隊入隊 2009年宇宙飛行士候補者に選抜され空自を退職 2015年7月宇宙飛行士として国際宇宙ステーション(ISS)に約5ヶ月滞在 川上村名誉村民 佐久市子ども未来館名誉館長

 

好奇心旺盛な少年時代shin_main

星をはじめ、何に対しても好奇心旺盛で、疑問に思ったことはすぐ家族や学校の先生に質問する子どもでした。「どうして?」と何でも聞くので、両親や姉は大変だったようです。将棋・電子ブロック・魚釣りが好きで、合唱にも参加。運動は半分強制的に剣道・少年野球・スピードスケートを経験しました。子どもの頃はやることが多く、空き時間に好きなことをするという感じでした。
高校時代、月〜金曜は学校隣の下宿で暮らし、土曜の授業後に川上村に帰るという生活。中学生の時は軟式テニス部だったので、高校でも軟式テニス部に入りましたが、部活をすると家の手伝いができなくなるので退部。3年生の時に応援団に入りました。勉強は、物理・数学・化学・地学といった理系の勉強は大好きでしたが、文系の勉強はなかなか好きになれませんでした。
両親に負担をかけず勉強ができるという理由で防衛大学校に進学。防衛大は幹部自衛官を養成する学校なので、宇宙飛行士や天文学者にはなれません。夢は諦めざるをえませんでした。航空自衛隊に入隊し、アメリカでパイロットの訓練を受けている頃に「ライトスタッフ」という映画を観ました。米軍のテストパイロットが宇宙飛行士に選ばれ宇宙に行くという話で、日本も状況次第ではそういう道が拓かれるかもしれないと思い、その頃からテストパイロットを目指すようになりました。自衛隊のテストパイロットコースでは、戦闘機や大型輸送機の操縦、日米調整、教官などを経験し、それら全てが宇宙飛行士の糧となりました。

 

夢に向かってコツコツと

人は苦労する道と簡単な道があると簡単な道を選びたくなるものですが、常に上司や仲間が厳しい道へ進むように導いてくれました。その時は大変でしたが、やり遂げた後には自分の成長を実感でき、今ではその道を選択して良かったと思っています。
防衛大の先輩の「今すべきことをやりなさい。そうすれば将来の道が自分の気づかないところで広がってくるから」という言葉を信じ、できることを1つずつこなしました。大きな目標を持つのは大切ですが、先を見るばかりでは目標に潰されることも。自分の名前にある「亀」のようにコツコツ努力しないと目標には辿り着けません。目標達成には5年、10年かかるので、簡単に諦めず長いレンジで考えることも大切です。
夢や目標を周りの人に話し、力を貸してもらうのも大事です。妻に「宇宙飛行士になりたい。だからテストパイロットを目指す」と伝えたことを妻が覚えていて、いろいろな面で支えてもらうことができました。

 

宇宙での経験を次につなげて

宇宙では人生観が変わる経験をしました。その感動を多くの方に伝えたいと思っています。4月からは筑波勤務となり、次に宇宙へ行く大西宇宙飛行士をしっかりサポートしていきます。今すべきことをしっかりこなし、次の計画で再び宇宙飛行士に指名してもらえるように、さらに大きな目標を持って取り組んでいこうと思っています。
長野県は故郷であり原点です。雄大な山や豊かな自然を見るとほっとするので、宇宙から撮った写真を手に、長野県巡りをしてみるのも良いかなと思っています。

 

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ISSから撮影された地球の海と雲
©JAXA/NASA

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3月に川上村で行われたミッション報告会の様子
(写真提供:川上村役場)