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アーティスト デビット・スタンリー・ヒューエットさん

sin01でびっと・すたんりー・ひゅーえっと 1967年アメリカ・オハイオ州生まれ 2010年より軽井沢町在住 幼少期から空手と陶芸を習いマサチューセッツ大学で日本史を専攻 大学卒業後来日し陶芸を学ぶ 2004年より「武士道」をテーマにアート作品を制作 作品は帝国ホテル、ホテルオークラなど世界中で保有されている

 

芸術一家に育つ

母は画家、二人の兄はそれぞれ建築家(彫刻家)・ジャズシンガーという芸術一家に育ち、母の影響で何かを作るということはとても身近なことでした。自宅のガレージが陶芸のアトリエになっていたこともあり、4歳の頃から陶芸を始めました。14歳のときに本格的に学校で陶芸を学び、同じ頃に空手も始めました。道場で日本語を覚え、作法を学ぶうちに、ますます日本に興味を持つようになり、マサチューセッツ大学では日本史を専攻。20歳のときに姉妹校である北海道大学の交換留学生として初めて来日しました。大学卒業後は日本で暮らし、日本の陶芸を学びました。その後、「自分自身を鍛えたい」sin02という思いからアメリカに戻り、海兵隊に入隊。4年間を過ごした後、再び日本で創作活動を再開し、帝国ホテルのスイートルーム用に依頼された108枚の絵画をきっかけに、ホテルの仕事を多く手掛けるようになりました。ほかにも帯や浴衣、ジュエリーなどのデザインの依頼も受けて制作しています。

 

武士道をアートで表現

「武士道」をテーマに、赤と黒の絵の具と金沢本金箔で描く抽象画に取り組み始めて11年になります。大学時代に日本史を学ぶ中で、「侍」に強く惹かれたのがきっかけでした。侍は戦士でありながら、花を活け、お茶を点て、詩を詠み、書をたしなむといった文化的要素がたくさんあります。その品格ある姿と精神性を重んじるところに魅力を感じ、美しいと思いました。「強い」という意味においては現代の軍人と同じだろうと思っていましたが、自分自身の軍隊経験を経て、全く異なるものであることを知りました。今の日本人の生活の中にも自然と根付いている武士道の世界観をアートで表現したいと思い、創作に取り組むようになりました。

作品には日本の伝統工芸品である金沢の本金箔を使っています。時間が経っても変色しない素晴らしい素材です。歴史上のハプニングからインスパイアされて描いたり、海兵隊の経験からインスピレーションを受けて描くこともあります。

 

日本の素晴らしさを発信

「環境の良い田舎で子どもを育てたい」と思い、2010年に東京から軽井沢へ移住しましsin03た。森の中に住んでいるので、創作の合間によく散歩をしています。心が落ち着き創作にもいい影響が出ていると思います。妻が日本人のため、食事や生活スタイルも日本式です。作務衣を愛用し、着物も着ます。妻には「前世は日本人」と言われるほど、日本の文化が体に馴染んでいます。

今年は新しい試みとして「トロス」という服飾ブランドを立ち上げました。新潟で職人が手作りをした純銀のアクセサリーや、手刺繍を施した男性もののYシャツ、Tシャツをデザインし販売します。100%メイドインジャパンです。日本には、家業で何代にも渡って受け継いでいる繊細なものづくりの技術があるので、WEBサイトでプロモートし、日本の手作りの技術を世界に発信したいと思っています。地元では戸塚酒造の新しいラベルと箱のデザインも手掛けました。伝統ある日本酒とのコラボレーションをお楽しみいただけると思います。