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二十五菩薩来迎会 保存会

  日本でも数少ない伝統芸能

旧北國街道沿い、小諸市平原地区にあった十念寺で、室町時代初期より奉修されていたとされる「二十五菩薩来迎会」。それを後世に残していこうと「二十五菩薩来迎会保存会」が1953年に立ち上げられました。保存会の会員は平原地区の住民で構成され、20代から90代までの38人で活動。現在は5年に一度、小諸市で行われる「郷土伝統芸能のつどい」に合せて練習し、発表をしています。

演者は25の菩薩だけでなく鳥面、天人、太鼓などの役も必要で、総勢40人程が参加し、全てを通しで演じると約2時間の演目となります。 1986年に開催された「小諸城500年祭」や、1991年には東京国立劇場でも披露しました。

2023年3月の「郷土伝統芸能のつどい」で披露。全体で練習できる時間は短いですが、その分それぞれが一生懸命練習し、本番に臨みました

 

  二十五菩薩来迎会とは

二十五菩薩来迎会は、臨終の際に阿弥陀如来が二十五菩薩と共に極楽浄土からやってきて、極楽往生を願う信者を救い往生させる様子を実演により民衆に伝えたものです。かつては東信地方のいくつかのお寺でも行われていたようですが、現在は全国でも数箇所で行われるのみになってしまいました。平原地区の二十五菩薩来迎会は、長野県のみならず全国的にも貴重とされ、小諸市の重要無形民俗文化財に指定されています。

 

  平原地区の伝統を守りたい

木のお面は目の部分が小さく、慣れるまでに時間がかかります

1949年に十念寺が焼失しましたが、寺の蔵に保存されていた装束やお面は難を逃れたため、その後も「二十五菩薩来迎会」を継続することができました。1960年から70年頃は、中学生だけで40人ほどの演者を集めることができ、子どもたちのみで披露していたそうですが、最近は子どもの数が少なくなり、中学生のみで演者を構成することができず、小学生や大人が参加することも。また、保存会の担い手の育成や、練習時間を確保して「郷土伝統芸能のつどい」以外の発表の機会を作ること、「二十五菩薩来迎会」を今後どう残していけば良いかなど、様々な課題にも直面しています。

「中世から伝えられ、戦乱の世にも絶えることなく数百年にわたり継承されてきた来迎会を、もっと身近な演劇として残したい。これからも地域の伝統を守っていきたい」と代表の小林さん。様々な課題をクリアしながら、大切な伝統をこれからも地区の若い世代へと受け継いでいく活動は続きます。