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氷風穴の里保存会

江戸時代から続く天然の冷蔵庫

江戸時代から続く天然の冷蔵庫
小諸市の氷地区にある「氷風穴」は、現在も稼働する国内の風穴の中でも特に古いものと言われています。そんな風穴を保存活用しようと2016年に保存会が発足。現在は地元住民を中心に84人が活動しています。 氷風穴は約330年前の江戸時代から天然の冷蔵庫として活用され、製糸業が最盛期だった明治時代には蚕種(蚕の卵)貯蔵庫として全国から依頼を受け、日本有数の蚕種貯蔵量を誇りました。しかし時代が変わり、蚕糸業の衰退とともに氷室もその役割を終え、一時は屋根も朽ちている状態でした。近年になり、外部の有識者がその貴重性に着目したのをきっかけに、「氷風穴」の保存活動を行うことになりました。 2017年には小諸市で「第4回全国風穴サミット」が開催され、全国から参加者が集まりました。その際、長野県建築士会佐久支部や小諸市も協力。「発足間もない時期に大きなイベントを経験できたことがその後の活動の広がりにつながった」とメンバーは振り返ります。

地域の歴史や自生する植物の知識も豊富でチームワーク抜群の保存会役員の皆さん。活動の様子などは「氷風穴の里保存会」で検索を

貴重種の植物が自生する場所

北海道に自生する木「オヒョウ」や、氷河期からの生き残り種「ハヤザキヒョウタンボク」といった本来この辺りでは見られない珍しい植物が風穴周辺に多く自生しているのも特徴です。保存会では植物識者を招いての学習会や観察会も定期的に開催。地質学を学ぶ大学生のフィールドワークの受け入れや、地学、風穴研究者の調査・研究を積極的に推進するなど多岐にわたる活動をしています。

暑い夏にこそ風穴体感を!

風穴は自由に見学可。現在も稼働する4号風穴には農産物や漬物、酒などが保管されています

7月14日には氷神社の例祭に合わせて、「氷風穴祭り」を開催。屋台の出店や地元野菜の販売、小諸市立千曲小学校の3年生が案内役となり風穴の見学や体験イベントも行う予定です。「真夏でも冷蔵庫のようにひんやりしているので、暑い夏こそ風穴を体感してほしい」と会長の前田富孝さん。2023年11月には氷風穴の歴史や文献を展示する資料館も開設。地元が誇る自然遺産の魅力を伝えるべく、これからも活動を続けていきます。