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インフルエンザ

「月刊ぷらざ佐久平 平成24年12月号」掲載

依田 達也 副部長今年もインフルエンザの季節がやってきました。毎年冬に流行し、多くの人が辛い思いをするインフルエンザですが、何とかかからずに、あるいはかかっても軽く済む方法はないものでしょうか。
今回は、インフルエンザの対処法・治療と予防についてお話します。

 

佐久総合病院 小児科(☎0267-82-3131) 依田 達也 副部長


ウィルスインフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染しておこる病気です。その感染力の強さと重い症状や合併症から、普通のかぜとは区別すべきものです。
症状の違いは、かぜではのどの痛み、鼻水、くしゃみや咳などの局所症状が中心ですが、インフルエンザは、高熱、頭痛、関節痛など全身の症状が突然現れ、時に肺炎や脳症などの重い合併症を引き起こすことがあります。インフルエンザは、感染した人がくしゃみ・咳をすることで飛んだ細かいしぶき(飛沫)に含まれるウイルスを、別の人が鼻や口から吸い込むことで感染し、ウイルスくしゃみが体に入っておよそ1~3日で症状が出ます。インフルエンザの診断に迅速診断キットが用いられていますが、発症直後ではウイルス量が少ないため陽性と判定されないことが多く、発症後12〜24時間が最も陽性率が高いとされています。それでも陽性率80〜90%で、100%ではありません。

インフルエンザにかかったら

急激に38℃以上の発熱があり、咳やのどの痛み、全身の倦怠感を伴う場合はインフルエンザに感染している可能性があります。こういった症状がある場合は医療機関を受診してください。特に、けいれんしたり、呼びかけに答えない、顔色が悪い、呼吸が速い・苦しそう、胸の痛みが続いている、嘔吐や下痢が続いている、症状が長引いて悪化してきたといった重症化のサインがみられる場合には緊急に受診する必要があります。
大事なのは、安静にして休養をとることです。特に、睡眠を十分にとることが大切です。また脱水にならないように、水分を十分に補給しましょう。他の人にうつさないことも大事です。 咳などの症状がある時は、咳やくしゃみをする際にハンカチやティッシュで口元を覆う、あるいはマスクをするなど、周囲への配慮が必要です。重症化しやすい、小さなお子さん、お年寄り、妊婦さんなどとはできるだけ接触しないようにしてください。また、人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場などに行かないようにしましょう。

インフルエンザの治療薬

インフルエンザの治療薬には、対症療法といって症状を緩和させる薬と、抗インフルエンザウイルス薬とがあります。対症療法薬には、熱や痛みに対して使う解熱鎮痛薬と咳等に対する鎮咳去痰薬などがあります。
抗インフルエンザウイルス薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で、内服薬(タミフル)、吸入薬(リレンザ・イナビル)、点滴薬(ラピアクタ)があります。ウイルスがある程度増殖してしまうと効果がなく、発症後48時間以内に開始することで効果を発揮します。薬の効果は、症状の軽減で、実際に発熱の期間が1〜2日短縮されます。また、重症化・合併症を防ぎ、入院や死亡を減らす効果もあるとされています。

 

ワクチンインフルエンザの予防

インフルエンザを予防する方法としては、次の様な事があげられます。
①流行前のワクチン接種
流行前にワクチン接種を受けることで、インフルエンザを発症する可能性を減らし、もし発症しても重い症状になるのを防ぎます。
②外出後の手洗い等
手洗いは手指など体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず一般的な感染症予防の基本です。外出後には、手洗い、うがいをするようにしましょう。
③適度な湿度の保持
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
④十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
⑤人混みや繁華街への外出を控える
インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出をして人混みに入る可能性がある場合には、飛沫等をある程度防ぐことができるマスクを着用することはひとつの防御策と考えられます。

ポスターおわりに

インフルエンザになった時の対処も大事ですが、かかる前の予防も大切です。日頃から感染予防に心がけ、この冬を乗り切りましょう。

 

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