佐久、小諸、上田…東信のことなら、ぷらざINFO
マークはクーポン券付きのお店です
(2018年3月1日)
佐久穂町立千曲病院 胃腸科 (☎0267-86-2360) 植竹 智義 院長
便秘とは何でしょうか?
2割の方にみられる便秘は極めてありふれた症状で、ほとんどは保険病名の「慢性便秘症」か「過敏性腸症候群便秘型」に相当します。多くの方は市販薬を購入するか通信販売での自己治療を行っている様ですが、満足できる治療になっていません。便秘は便形状として硬い兎状便、便回数として週に1〜2回への減少が特徴的ですが、症状としての腹痛や不快感も重要です。便形状は下表での3~5段階が正常であり、排便回数は3日以上ない事が便秘であると定義されています。最近では便秘の症状そのものが生活の質QOLに与える影響が見逃せなくなっています。腹部膨満感や不快感、腹痛などの腹部症状を合併する場合は著しく生活の質QOLが低下するのです。さらに外国の報告では10年経過した便秘は、便秘のない集団と比較すると20%余命が短かくなっていました。便秘は数多くの悪性疾患(癌)、神経、糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、内服薬の副作用などの隠れたサインでありえる事も知ってください。大腸癌は肺癌に次いで癌死亡率の2位と高率であり、便秘の原因検査には下部消化管内視鏡検査(大腸鏡)などの検査を受けられると安心出来るでしょう。
便秘はまず生活療法
便秘の治療は、順番としてまず生活療法、食事療法があり、それでだめなら内服療法となります。規則正しい生活・運動・食習慣、そして食物の出口である排便習慣も正されなければ、適正な消化管機能のリズムを作ることは困難です。さらに毎日のリズムにつながる十分な睡眠も生活療法に大事な事です。食物繊維を含む適切な食事内容のバランスも大切です。この食物繊維は1日20g以上の摂取が望まれますが、ごぼう1本10g、レタス1個で5g、白菜1個でも10gと大変ですが意識して継続しましょう。 夜間に休んでいた胃腸は朝食べ物が入った直後が1日で一番大きく働きます。朝食後が排便の最大のチャンス!これを逃さないように初めはしっかりと毎朝10分間トイレに座る、排便の時間を確保してください。そのために早寝早起きをする規則正しい生活習慣を心がけましょう。洋式便座では肘をつく様に前屈みになると直腸の角度が直線化となり排便しやすい姿勢になります。
新しい便秘の内服薬
生活療法、食事療法で効果がなければ内服が必要となり、主役となる便秘治療薬は大きく3種類①機械性下剤(塩類下剤)②腸管刺激性下剤③粘膜変容薬となります。①酸化マグネシウム(カマ、マグミット、マグラックス)は本当に多用されていますが、特に高齢者において腎機能障害に伴う不整脈の発生があり注意が必要です。②どこでも気軽に買える腸管刺激性下剤(アローゼン、プルゼニド、ラキソベロン、センナ、アロエ、大黄の含有した漢方薬)の強力な作用に頼りたくなりますが、耐性・習慣性があるため常用には適当ではなく、下剤の麻薬とも証される薬であるのをご存じでしょうか。常用・乱用せずに週2回程度の頓用にすべきです。加えて長期の常用による神経萎縮、発癌の可能性も危惧されていますのでなおさら控えたいです。③粘膜変容薬は30年ぶりの下剤の新薬です。アミティーザ、リンゼス、そしてこの春に更にグーフィスが追加発売されます。小腸に働き、安定した排便回数増加、症状の改善が確認され、腹痛症状にも効果的な薬もあり、良好な経過が期待できます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?便秘の抱える2つの大きな問題として、下剤の乱用の危険性、便秘と大腸癌の関係について説明させていただきました。下剤乱用を繰り返す事により便秘はより難治性になります。便秘は大腸癌のサインでもあり、便秘自体が大腸癌発生の原因にもなるとも言われています。しかしもう便秘に悩む必要はありません。いまは理論と、それに対する内服薬もあります。ご心配の方はかかりつけ医かお近くの医療機関にご相談いただければ幸いです。
月刊ぷらざ編集部(株式会社信州広告社)
Copyright(c) saac.co.ltd All Rights Reserved.
皆様は便秘を体質だと気楽に思ってはいませんか?便秘になったらお薬を買えば済むと思っていませんか?最近では、便秘の考え方とそれに伴う治療法が変わっています。今回はその考え方と新しい治療を説明し、そして便秘の裏に隠れたとても心配な2つの事を説明します。皆様の排便習慣が腸 ! 快適になっていただきたいと思います。
佐久穂町立千曲病院 胃腸科 (☎0267-86-2360) 植竹 智義 院長
便秘とは何でしょうか?
2割の方にみられる便秘は極めてありふれた症状で、ほとんどは保険病名の「慢性便秘症」か「過敏性腸症候群便秘型」に相当します。多くの方は市販薬を購入するか通信販売での自己治療を行っている様ですが、満足できる治療になっていません。便秘は便形状として硬い兎状便、便回数として週に1〜2回への減少が特徴的ですが、症状としての腹痛や不快感も重要です。便形状は下表での3~5段階が正常であり、排便回数は3日以上ない事が便秘であると定義されています。最近では便秘の症状そのものが生活の質QOLに与える影響が見逃せなくなっています。腹部膨満感や不快感、腹痛などの腹部症状を合併する場合は著しく生活の質QOLが低下するのです。さらに外国の報告では10年経過した便秘は、便秘のない集団と比較すると20%余命が短かくなっていました。便秘は数多くの悪性疾患(癌)、神経、糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、内服薬の副作用などの隠れたサインでありえる事も知ってください。大腸癌は肺癌に次いで癌死亡率の2位と高率であり、便秘の原因検査には下部消化管内視鏡検査(大腸鏡)などの検査を受けられると安心出来るでしょう。
便秘はまず生活療法
便秘の治療は、順番としてまず生活療法、食事療法があり、それでだめなら内服療法となります。規則正しい生活・運動・食習慣、そして食物の出口である排便習慣も正されなければ、適正な消化管機能のリズムを作ることは困難です。さらに毎日のリズムにつながる十分な睡眠も生活療法に大事な事です。食物繊維を含む適切な食事内容のバランスも大切です。この食物繊維は1日20g以上の摂取が望まれますが、ごぼう1本10g、レタス1個で5g、白菜1個でも10gと大変ですが意識して継続しましょう。
夜間に休んでいた胃腸は朝食べ物が入った直後が1日で一番大きく働きます。朝食後が排便の最大のチャンス!これを逃さないように初めはしっかりと毎朝10分間トイレに座る、排便の時間を確保してください。そのために早寝早起きをする規則正しい生活習慣を心がけましょう。洋式便座では肘をつく様に前屈みになると直腸の角度が直線化となり排便しやすい姿勢になります。
新しい便秘の内服薬
生活療法、食事療法で効果がなければ内服が必要となり、主役となる便秘治療薬は大きく3種類①機械性下剤(塩類下剤)②腸管刺激性下剤③粘膜変容薬となります。①酸化マグネシウム(カマ、マグミット、マグラックス)は本当に多用されていますが、特に高齢者において腎機能障害に伴う不整脈の発生があり注意が必要です。②どこでも気軽に買える腸管刺激性下剤(アローゼン、プルゼニド、ラキソベロン、センナ、アロエ、大黄の含有した漢方薬)の強力な作用に頼りたくなりますが、耐性・習慣性があるため常用には適当ではなく、下剤の麻薬とも証される薬であるのをご存じでしょうか。常用・乱用せずに週2回程度の頓用にすべきです。加えて長期の常用による神経萎縮、発癌の可能性も危惧されていますのでなおさら控えたいです。③粘膜変容薬は30年ぶりの下剤の新薬です。アミティーザ、リンゼス、そしてこの春に更にグーフィスが追加発売されます。小腸に働き、安定した排便回数増加、症状の改善が確認され、腹痛症状にも効果的な薬もあり、良好な経過が期待できます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?便秘の抱える2つの大きな問題として、下剤の乱用の危険性、便秘と大腸癌の関係について説明させていただきました。下剤乱用を繰り返す事により便秘はより難治性になります。便秘は大腸癌のサインでもあり、便秘自体が大腸癌発生の原因にもなるとも言われています。しかしもう便秘に悩む必要はありません。いまは理論と、それに対する内服薬もあります。ご心配の方はかかりつけ医かお近くの医療機関にご相談いただければ幸いです。