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(2015年6月1日)
C型肝炎の病態
血液を介してC型肝炎ウイルスが感染します。過去には輸血や血液製剤、注射器の使いまわしなどで感染しました。感染すると70%_80%の患者さんは肝臓にウイルスが住み着いて、炎症をおこし、慢性肝炎になり肝硬変に進展、肝臓癌を発症します(図2)。
C型肝炎の治療
治療にはウイルスそのものを消す抗ウイルス療法と肝臓の炎症を鎮める肝庇護療法があります。現在では抗ウイルス療法としてインターフェロンを用いる治療、インターフェロンフリーの経口薬だけの治療に分かれます。日本ではC型肝炎ウイルスは1型、2型のゲノタイプがあり、ゲノタイプにより治療が異なります。ゲノタイプ1型はインターフェロンが効きにくく、特にウイルス量の多い患者さんは治療が難しいことが問題でした。最近ではインターフェロンと経口薬2剤(リバビリン、シメプレビルまたはバニプレビル)の併用で、治療効果も90%近くにまで改善しました。しかし、インターフェロン治療は副作用が強く、高齢や精神疾患のある患者さんには使用できませんでした。昨年9月に日本で初めてインターフェロンフリーの経口薬だけ(アスナプレビル、ダクラタスビル)の治療が保険適応になり、インターフェロン治療ができなかった患者さんにも治療が行えるようになりました。治療効果は80%以上得られます。当初はインターフェロン治療で効果がなかった方、副作用がひどくて中止した方、インターフェロンが使用できなかった方に治療が認められていました。今年の4月からはどの患者さんでも治療ができるようになりました。
経口薬の注意点
しかし、C型肝炎ウイルスの遺伝子に変異がある場合、この薬を投与しても効果が得られないことがわかりました。もし遺伝子の変異がある人にアスナプレビル、ダクラタスビルを使用したら薬剤耐性が出る為、今後発売されるあらゆる種類の経口薬が効かなくなってしまう恐れがあります。そこで、治療前に遺伝子の異常を調べる必要があります。保険適応はありませんが、製薬会社に依頼すると無料で検査ができる、あるいは、研究用に無料で検査を行う医療機関もあります。医療機関でこの遺伝子検査に対応可能かどうか確認が必要です。また、重篤な肝機能障害を認めることがあり、2週間に1回の血液検査が必要です。今年9月以降に発売予定の経口薬(ソフォスフビル、レディパスビル)は治療効果が98%(臨床試験)と高く事前の遺伝子検査は必要ないと言われています。今後、治療効果が90%を越える経口薬が続々と発売されていく予定です。ではインターフェロン治療はなくなるのでしょうか。インターフェロン治療には肝臓癌の発症を抑える効果があることが知られています。経口薬にはこのような作用があるのか現時点では不明です。インターフェロン治療を行うメリットはあり、それぞれの患者さんに合った治療を選択されるのが良いと思われます。では2型の患者さんの治療はどうでしょうか。2型はインターフェロン治療で80%以上の治療効果が得られます。従来はインターフェロン単独または経口薬との併用療法を行ってきました。しかし、2型の患者さんの中にもインターフェロン治療で効果が得られなかった患者さんや高齢の為インターフェロン治療を行えない患者さんがいます。そこで2型の患者さんにも今年6月から経口薬だけの治療(ソフォスフビル、リバビリン)ができるようになります。この経口薬では90%以上の高い治療効果を示しており、すべての患者さんが対象になります。
C型肝炎からの肝細胞癌の発症
C型肝炎の治療の目標は肝炎ウイルスを消失させ、肝炎から肝硬変への進展を防ぐこと、肝臓癌の発症を抑えることです。発癌抑制効果があると言われているインターフェロン治療でウイルスが消えた患者さんでも肝臓癌を発症することがあります。C型肝炎ウイルスが消えたからもう診察に行かなくて良いのではなく、発癌の危険性が残っているので治療後も定期的な血液検査、CTや超音波などの画像診断を続けていくことが大切です。強力な作用をもつDAAsの登場で、今後C型肝炎ウイルスが消える患者さんが増え、20年後にはC型肝炎は珍しい病気になるであろうという予測がされています。多くの患者さんが適切な治療を受けて、C型肝炎がこの世から消えていくことを願っています。
月刊ぷらざ編集部(株式会社信州広告社)
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C型肝炎治療は直接作用型抗ウイルス薬(Direct acting antivirals: DAAs)の登場により治療効果が著明に改善してきました。経口薬だけの治療ができるようになり、今後はさらに効果が高く、治療期間が短くなる新薬が次々と発売される予定です(図1)。今回はDAAsの登場により大きく変化したC型肝炎の治療と注意点、今後の展望についてお話ししたいと思います。
C型肝炎の病態
血液を介してC型肝炎ウイルスが感染します。過去には輸血や血液製剤、注射器の使いまわしなどで感染しました。感染すると70%_80%の患者さんは肝臓にウイルスが住み着いて、炎症をおこし、慢性肝炎になり肝硬変に進展、肝臓癌を発症します(図2)。
C型肝炎の治療
治療にはウイルスそのものを消す抗ウイルス療法と肝臓の炎症を鎮める肝庇護療法があります。現在では抗ウイルス療法としてインターフェロンを用いる治療、インターフェロンフリーの経口薬だけの治療に分かれます。日本ではC型肝炎ウイルスは1型、2型のゲノタイプがあり、ゲノタイプにより治療が異なります。ゲノタイプ1型はインターフェロンが効きにくく、特にウイルス量の多い患者さんは治療が難しいことが問題でした。最近ではインターフェロンと経口薬2剤(リバビリン、シメプレビルまたはバニプレビル)の併用で、治療効果も90%近くにまで改善しました。しかし、インターフェロン治療は副作用が強く、高齢や精神疾患のある患者さんには使用できませんでした。昨年9月に日本で初めてインターフェロンフリーの経口薬だけ(アスナプレビル、ダクラタスビル)の治療が保険適応になり、インターフェロン治療ができなかった患者さんにも治療が行えるようになりました。治療効果は80%以上得られます。当初はインターフェロン治療で効果がなかった方、副作用がひどくて中止した方、インターフェロンが使用できなかった方に治療が認められていました。今年の4月からはどの患者さんでも治療ができるようになりました。
経口薬の注意点
しかし、C型肝炎ウイルスの遺伝子に変異がある場合、この薬を投与しても効果が得られないことがわかりました。もし遺伝子の変異がある人にアスナプレビル、ダクラタスビルを使用したら薬剤耐性が出る為、今後発売されるあらゆる種類の経口薬が効かなくなってしまう恐れがあります。そこで、治療前に遺伝子の異常を調べる必要があります。保険適応はありませんが、製薬会社に依頼すると無料で検査ができる、あるいは、研究用に無料で検査を行う医療機関もあります。医療機関でこの遺伝子検査に対応可能かどうか確認が必要です。また、重篤な肝機能障害を認めることがあり、2週間に1回の血液検査が必要です。今年9月以降に発売予定の経口薬(ソフォスフビル、レディパスビル)は治療効果が98%(臨床試験)と高く事前の遺伝子検査は必要ないと言われています。今後、治療効果が90%を越える経口薬が続々と発売されていく予定です。ではインターフェロン治療はなくなるのでしょうか。インターフェロン治療には肝臓癌の発症を抑える効果があることが知られています。経口薬にはこのような作用があるのか現時点では不明です。インターフェロン治療を行うメリットはあり、それぞれの患者さんに合った治療を選択されるのが良いと思われます。では2型の患者さんの治療はどうでしょうか。2型はインターフェロン治療で80%以上の治療効果が得られます。従来はインターフェロン単独または経口薬との併用療法を行ってきました。しかし、2型の患者さんの中にもインターフェロン治療で効果が得られなかった患者さんや高齢の為インターフェロン治療を行えない患者さんがいます。そこで2型の患者さんにも今年6月から経口薬だけの治療(ソフォスフビル、リバビリン)ができるようになります。この経口薬では90%以上の高い治療効果を示しており、すべての患者さんが対象になります。
C型肝炎からの肝細胞癌の発症
C型肝炎の治療の目標は肝炎ウイルスを消失させ、肝炎から肝硬変への進展を防ぐこと、肝臓癌の発症を抑えることです。発癌抑制効果があると言われているインターフェロン治療でウイルスが消えた患者さんでも肝臓癌を発症することがあります。C型肝炎ウイルスが消えたからもう診察に行かなくて良いのではなく、発癌の危険性が残っているので治療後も定期的な血液検査、CTや超音波などの画像診断を続けていくことが大切です。強力な作用をもつDAAsの登場で、今後C型肝炎ウイルスが消える患者さんが増え、20年後にはC型肝炎は珍しい病気になるであろうという予測がされています。多くの患者さんが適切な治療を受けて、C型肝炎がこの世から消えていくことを願っています。