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運動と心臓病のはなし 心臓リハビリとは?

心臓リハビリとは?

心臓リハビリをご存知でしょうか。あまり聞きなれない言葉だと思いますが、心臓病以外の病気や怪我でもリハビリを行うように、心臓病でもリハビリを行います。心臓病になると心臓の機能が低下するため、体の働きも低下してしまいます。心臓病が落ち着いた段階で、なるべく早く普段の生活へ戻れるようにリハビリを始めます。さらに心臓リハビリでは体を動かすだけではなく、食事療法、カウンセリング、禁煙指導、薬剤指導などを組み合わせて行うことによって、心臓病の原因となる生活習慣の見直しを行います。また、入院中だけではなく、退院後もリハビリを継続することによって、心臓病の悪化や再発による再入院を防ぎます。より良い生活を送ることを目標として、理学療法士、看護師、栄養士、薬剤師、医師などがチームとなってリハビリを行います。

 

心臓病があって運動することは危険では?

以前はそのように考えられていましたが、安静にしすぎるのも良くないことが分かってきたので、現在では心臓に負担のない範囲で体を動かすことが勧められています。ただ、心臓病があって運動することに、危険がないわけではありません。中には運動が勧められない心臓病もあります。特に強すぎる運動は大変危険です。そのことを理解して適切な運動療法を行えば、安全に運動を行うことができますし、危険な心臓発作も防ぐことができます。

 

心臓リハビリの注意点は?

 まずは運動を安全に行うことです。やはり安全第一ですので、運動をする時には無理をせずに、疲れや異常を感じたら休んでください。運動をしすぎると逆に健康を害してしまうことになります。適度な強さで運動を行うことも重要です。運動が軽すぎたり、少なすぎたりしても十分な効果が期待できません。また、運動だけでは効果が不十分ですので、食事療法や禁煙を合わせて行うことも必要です。食事療法を行い、禁煙を実行しないと運動療法の良い効果がなくなってしまいます。そして、長期間継続することも大切です。運動療法、食事療法、禁煙は長く続けないと良い効果が出ません。

 

どのような運動をすれば良いのですか?

ウォーキング、サイクリングなどのように、体をリズミカルに動かす運動が勧められています。これらの運動は、体が酸素を取り込みながら行うことができるので、有酸素運動と呼ばれます。反対に無酸素運動とは、重量挙げ、腕立て伏せ、短距離走などの運動で、体に酸素を取り込まずに行われるため、無酸素運動と呼ばれます。心臓リハビリでは心臓に負担がかからないように、有酸素運動を中心に行います。無酸素運動は心臓に負担をかけるので、心臓リハビリにはあまり良くありません。有酸素運動を行う場合でも、心臓リハビリでの運動はきつい方が良いというわけではありません。運動の度合いが強すぎると、心臓への負担が大きくなり、心臓の事故も起こりやすくなります。

 

安全に運動をするには?

ご自分の体調、天気、服装、脱水などに注意してください。無理をしないことが大切です。運動の時間は1日に30分から60分を目安とします。運動をする時間がない場合は、細切れに行っても問題ありません。例えば、30分の運動を1日のうちに10分ずつ3回に分けて行っても、30分続けた場合と同じ効果が得られることが分かっています。回数は週に3回から5回程度が理想的です。これは運動の種類や強さ、時間によっても違いますが、1回の運動の効果が続くのが半日から長くても3日程度と言われているからです。運動の強さは個人によって違いますが、自分の最大運動能力の4〜6割程度であれば、心臓への負担が少ないとされています。これはご自分の感覚で「楽」と思える程度から「ややきつい」と感じる程度の運動になります。息切れせずに軽く汗ばみ、隣の人と話ができる程度の運動です。息が弾んでしまい、会話が途切れ途切れになるようでは強すぎます。

今回の内容は心臓病の方に向けての内容が中心でしたが、心臓病は日常生活に注意することで、ある程度は予防することが可能です。心臓病のない方も食事に注意し、適度な運動を行うことは大切なことです。佐久医療センターでは心臓病の予防を目的として、定期的に心臓リハビリ教室を開催しています。運動以外にも病気や薬、食事についてもお話ししています。お申し込み頂ければどなたでもご参加可能ですので、ご興味のある方はお問い合わせください。