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(2014年10月1日)
「月刊ぷらざ 平成26年10月号」掲載
佐久市立浅間総合病院 (☎0267-67-2295) 外科 松本 涼子 医長
乳がんの発生率は20年間で約2倍になりました。食生活の欧米化や出産の高齢化など、いくつかの原因が指摘されています。乳がんは40歳代後半にピークがあり、70歳を過ぎてもあまり減りません。40歳代というと育児や仕事と、家庭の中心的存在であり家族への影響も大きな年代です。女性では誰でもかかりうる乳がんですが、早期に発見して適切な治療を受ければ、9割以上は治ります。このため、検診を定期的に受けて、早く発見することが大切です。
検診には、視触診、マンモグラフィ、超音波があります。40歳以上の女性には集団検診としてマンモグラフィ検診が行われています。乳房をプラスチックの板ではさんで平たくし、乳房専用のX線装置で乳房全体を撮影します。視触診だけでは発見できないしこりや、石灰化のある小さな乳がんを発見できます。超音波検査は、痛みのない検査で、しこりがあるかどうかの判断に有効です。40歳未満で、乳腺の密度が高いと、マンモグラフィではしこりがあるかどうかわかりにくくなる場合がありますが、このような場合にも有効です。 乳がんは他の内臓と違って、自分で触って発見できるという特徴があります。毎月1回、閉経後の方は日を決めて、閉経前の方は乳房がはらない月経終了後1週間くらいまでの間に、ぜひ①から③の手順でセルフチェックを行なってみてください。乳がんの半数は、乳頭よりも頭側で外側の領域に発生しますので、この領域は特に注意して触診することが望ましいです。 ①鏡に向かい腕を上げて、乳房の変形や左右差がないかをチェックしましょう。
②渦を描くように手を動かして、指で乳房にしこりがないかをチェックしましょう。
③あお向けになって外側から内側へ指を滑らせ、しこりの有無をチェックしましょう。
乳がん全体の1%未満とまれではありますが、乳がんは男性もかかる病気ですので、男性の方でもしこりを見つけた場合には受診が必要です。
乳腺は、乳頭を中心に放射状に15から20個並んでいて、小葉で作られた乳汁が乳管を通って乳頭へ運ばれます。乳がんは、乳腺組織の乳管や小葉から発生するがんです。正常な細胞の遺伝子が何らかの原因で傷つくと、がん化の最初の異変が起きます。この細胞に女性ホルモンであるエストロゲンなどが作用すると、がん化が進行していきます。 治療法には、大きく分けて、手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法があります。腫瘍に針をさす検査を組織診といいますが、腫瘍の性質や効果のある治療法は一人一人異なるため、この結果を考慮して、個別に最適な治療を選択します。治療の選択肢がたくさんあるのが乳がんの特徴です。 手術は、乳房温存術と乳房切除術に大きく分かれます。乳房温存術は、乳房を全部摘出することなく、乳頭を残した上で、がんを周囲の正常乳腺を含めて部分的に切除する方法で、原則として術後は放射線照射を加えます。乳房切除術では、大胸筋を残して乳房全部を切除します。これらに加え、転移しやすいわきの下のリンパ節の生検やリンパ節郭清を行います。術式は腫瘍の大きさや、広がり、乳頭との距離や、患者さんの希望も考慮して決定されます。 さらに、「乳がん手術によって失われた乳房を取り戻したい」という女性としての願いにこたえてくれるのが、形成外科と連携して行う乳房再建です。乳房再建とは、自分の体の一部や、人工乳房を使って、乳房の形を補う方法です。乳房再建を行わなくても、欠損や変形を補うためのパッドや専用の下着類も市販されています。また、当院では近隣の増田医院とも協力して、患者様同士で、情報交換をしたり、乳房手術後でも気兼ねなく温泉に入ったりできるような、「いちご会」という患者様の会にかかわっております。「いちご」とは一期一会からきています。一人で不安にならずに、患者様同士の情報交換や知識の共有の場を活用していただければと思います。
乳がんの早期発見のために、自己触診で異常がなくても、乳がん検診を定期的に受けることをおすすめします。また、自己触診で気になる症状や乳頭から血が混じった分泌があれば、検診は待たずに早めに近くの乳腺外科あるいは外科を受診してみてください。
社団法人 佐久医師会 〒385-0052 佐久市原569-7 TEL0267-62-0442 FAX0267-63-3636 http://saku-ishikai.or.jp
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「月刊ぷらざ 平成26年10月号」掲載
女性はどの部位のがんにかかりやすいかご存じでしょうか。「乳がん」は年々増加し、1998年以降首位は「乳がん」で、大腸がんや胃がんと並んで女性に最も多いがんの一つです。毎年約6万人の方が乳がんにかかっています。今回は、そのような女性にとって一番身近ながんである乳がんの、早期発見のしかたと、診断を受けた後の治療についてお話しします。
佐久市立浅間総合病院 (☎0267-67-2295)
外科 松本 涼子 医長
乳がんの発生率は20年間で約2倍になりました。食生活の欧米化や出産の高齢化など、いくつかの原因が指摘されています。乳がんは40歳代後半にピークがあり、70歳を過ぎてもあまり減りません。40歳代というと育児や仕事と、家庭の中心的存在であり家族への影響も大きな年代です。女性では誰でもかかりうる乳がんですが、早期に発見して適切な治療を受ければ、9割以上は治ります。このため、検診を定期的に受けて、早く発見することが大切です。
定期的な検診と自己触診で早期発見を
検診には、視触診、マンモグラフィ、超音波があります。40歳以上の女性には集団検診としてマンモグラフィ検診が行われています。乳房をプラスチックの板ではさんで平たくし、乳房専用のX線装置で乳房全体を撮影します。視触診だけでは発見できないしこりや、石灰化のある小さな乳がんを発見できます。超音波検査は、痛みのない検査で、しこりがあるかどうかの判断に有効です。40歳未満で、乳腺の密度が高いと、マンモグラフィではしこりがあるかどうかわかりにくくなる場合がありますが、このような場合にも有効です。
乳がんは他の内臓と違って、自分で触って発見できるという特徴があります。毎月1回、閉経後の方は日を決めて、閉経前の方は乳房がはらない月経終了後1週間くらいまでの間に、ぜひ①から③の手順でセルフチェックを行なってみてください。乳がんの半数は、乳頭よりも頭側で外側の領域に発生しますので、この領域は特に注意して触診することが望ましいです。
①鏡に向かい腕を上げて、乳房の変形や左右差がないかをチェックしましょう。
②渦を描くように手を動かして、指で乳房にしこりがないかをチェックしましょう。
③あお向けになって外側から内側へ指を滑らせ、しこりの有無をチェックしましょう。
乳がん全体の1%未満とまれではありますが、乳がんは男性もかかる病気ですので、男性の方でもしこりを見つけた場合には受診が必要です。
乳がんの治療
乳腺は、乳頭を中心に放射状に15から20個並んでいて、小葉で作られた乳汁が乳管を通って乳頭へ運ばれます。乳がんは、乳腺組織の乳管や小葉から発生するがんです。正常な細胞の遺伝子が何らかの原因で傷つくと、がん化の最初の異変が起きます。この細胞に女性ホルモンであるエストロゲンなどが作用すると、がん化が進行していきます。
治療法には、大きく分けて、手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法があります。腫瘍に針をさす検査を組織診といいますが、腫瘍の性質や効果のある治療法は一人一人異なるため、この結果を考慮して、個別に最適な治療を選択します。治療の選択肢がたくさんあるのが乳がんの特徴です。
手術は、乳房温存術と乳房切除術に大きく分かれます。乳房温存術は、乳房を全部摘出することなく、乳頭を残した上で、がんを周囲の正常乳腺を含めて部分的に切除する方法で、原則として術後は放射線照射を加えます。乳房切除術では、大胸筋を残して乳房全部を切除します。これらに加え、転移しやすいわきの下のリンパ節の生検やリンパ節郭清を行います。術式は腫瘍の大きさや、広がり、乳頭との距離や、患者さんの希望も考慮して決定されます。
さらに、「乳がん手術によって失われた乳房を取り戻したい」という女性としての願いにこたえてくれるのが、形成外科と連携して行う乳房再建です。乳房再建とは、自分の体の一部や、人工乳房を使って、乳房の形を補う方法です。乳房再建を行わなくても、欠損や変形を補うためのパッドや専用の下着類も市販されています。また、当院では近隣の増田医院とも協力して、患者様同士で、情報交換をしたり、乳房手術後でも気兼ねなく温泉に入ったりできるような、「いちご会」という患者様の会にかかわっております。「いちご」とは一期一会からきています。一人で不安にならずに、患者様同士の情報交換や知識の共有の場を活用していただければと思います。
まとめ
乳がんの早期発見のために、自己触診で異常がなくても、乳がん検診を定期的に受けることをおすすめします。また、自己触診で気になる症状や乳頭から血が混じった分泌があれば、検診は待たずに早めに近くの乳腺外科あるいは外科を受診してみてください。
社団法人 佐久医師会
〒385-0052 佐久市原569-7
TEL0267-62-0442 FAX0267-63-3636
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