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(2019年12月1日)
フルタクリニック (☎0267-63-0202) 古田 豪記 院長
高血圧者の現状
2017年の高血圧者数は4300万人(日本人の3人に1人)と非常に多く、そのうち3100万人が管理不良です。すなわち高血圧者4人中3人は目標血圧に達しておらず、コントロール率は27%です。管理不良者のうち1400万人は自分が高血圧であることを認識していません。認識しながら未治療者が450万人、治療を受けていながら管理不良者が1250万人います。これらの管理不良者を減少させる対策が急務となっています。なぜなら、心臓血管病による死亡への危険因子として高血圧は糖尿病・脂質異常症・喫煙などと比べて倍以上の寄与があることが報告されているからです。言い換えると、これら病気・生活習慣の中から一つしか改善することができないとすると、高血圧を改善することがより効果的であるということです。3100万人のコントロール不良者を高血圧が原因で死に至らないようにするため、医師は奮闘しています。
臨床イナーシャ
一方、医師に向けた臨床イナーシャが明記されました。臨床イナーシャとは「患者さんの問題を認識していながら、それを解決する行動を起こすことができない」ことです。薬を飲みたくないなど患者さんの問題と、なんとなく様子を見てしまう医師の問題が混在しています。薬が必要なのに薬を飲みたくない患者さんに対して医師は無策であってはいけません。忙しすぎて説得できない。面倒でどうでもよくなる。こういう状態は医師の存在意義が問われる状態であり何かをすべきです。なぜ薬を飲むことを嫌がるのか?医師が想像するところと全く違う場合もあります。いずれにしても医師と患者さん間の意思疎通は必要不可欠ですが、それとともに重要なのは治そう、治ろうとする双方の情熱と、治療の必要性を理解していただくことだと思います。
内服薬の種類と選択
高血圧の内服薬は配合剤があるため多くの場合1日1回1〜2剤でコントロールができます。頸動脈エコーなど高血圧が原因で血管障害が起きていることを確認した後に内服開始することが、先述した臨床イナーシャを防ぐ意味でも大切です。動脈硬化がすすんでいなければ生活習慣の改善だけで正常化する場合もあります。また、脳や副腎の腫瘍による高血圧もあり、手術なしでは血圧が下がらない場合もあります。同じ種類の薬が2種類出ているなどのご質問をよくお受けしますので、ここでご説明いたします。例えばカルシウム拮抗薬という種類の薬があります。その中には脈拍を下げる力が強い薬、血管の攣縮(痙攣)を防ぐ力が強い薬、血圧を下げる力が強い薬があり、それぞれ別の効能を期待して複数のカルシウム拮抗薬が処方されます。またβ遮断薬は1種類で心臓に休養を与え血圧を下げ不整脈を抑える力を持っている反面、動脈や気管支を攣縮させてしまう副作用があり、それを防ぐため別の薬が必要になることもあります。利尿薬も立派な降圧薬ですが、その種類は様々で血中K濃度を下げたくない時などは、利尿薬だけで2剤必要な場合もあります。
内服治療のコツと注意点
合併症がある方には避けるべき薬があります。腎臓が悪い方には第一選択となる薬でも両側腎動脈狭窄がある方には慎重投与する必要があります。妊婦に使ってはいけない薬もあります。心不全になったことがある方には心臓を休めながら血圧を下げる薬を選択したほうがより効果的な場合が少なからずあります。高齢者はより血圧を下げるのに慎重になる必要があります。動脈瘤があるなど特別な場合以外でⅡ度以下の高血圧では急速に血圧を低下させる必要がない場合が多く存在します。医師はそれらのことをすべて考えた上で治療しています。
高血圧の治療をしましょう
あなたも血圧管理不良者3100万人のうちの一人かもしれません。生活習慣の改善はとても大切ですが、それだけではうまくいかない場合もたくさんあります。サイレントキラーと言われる高血圧ですが、手足が温かくなるような降圧ができた場合は、体調もよりよくなる方が多くいらっしゃいます。かかりつけ医をお持ちでなく、血圧が140/90mmHgを超えることがある方は病院を受診してみてはいかがですか?
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降圧目標が130/80mmHgとなり、75歳以上140/90mmHgとなりました。また、合併症がある方の目標血圧はより強化されました。多くの選択肢があるように見える高血圧治療ですが、今回は治療にあたって医師が考えていることをガイドラインより紹介してみます。少し読んでみてください。
フルタクリニック (☎0267-63-0202) 古田 豪記 院長
高血圧者の現状
2017年の高血圧者数は4300万人(日本人の3人に1人)と非常に多く、そのうち3100万人が管理不良です。すなわち高血圧者4人中3人は目標血圧に達しておらず、コントロール率は27%です。管理不良者のうち1400万人は自分が高血圧であることを認識していません。認識しながら未治療者が450万人、治療を受けていながら管理不良者が1250万人います。これらの管理不良者を減少させる対策が急務となっています。なぜなら、心臓血管病による死亡への危険因子として高血圧は糖尿病・脂質異常症・喫煙などと比べて倍以上の寄与があることが報告されているからです。言い換えると、これら病気・生活習慣の中から一つしか改善することができないとすると、高血圧を改善することがより効果的であるということです。3100万人のコントロール不良者を高血圧が原因で死に至らないようにするため、医師は奮闘しています。
臨床イナーシャ
一方、医師に向けた臨床イナーシャが明記されました。臨床イナーシャとは「患者さんの問題を認識していながら、それを解決する行動を起こすことができない」ことです。薬を飲みたくないなど患者さんの問題と、なんとなく様子を見てしまう医師の問題が混在しています。薬が必要なのに薬を飲みたくない患者さんに対して医師は無策であってはいけません。忙しすぎて説得できない。面倒でどうでもよくなる。こういう状態は医師の存在意義が問われる状態であり何かをすべきです。なぜ薬を飲むことを嫌がるのか?医師が想像するところと全く違う場合もあります。いずれにしても医師と患者さん間の意思疎通は必要不可欠ですが、それとともに重要なのは治そう、治ろうとする双方の情熱と、治療の必要性を理解していただくことだと思います。
内服薬の種類と選択
高血圧の内服薬は配合剤があるため多くの場合1日1回1〜2剤でコントロールができます。頸動脈エコーなど高血圧が原因で血管障害が起きていることを確認した後に内服開始することが、先述した臨床イナーシャを防ぐ意味でも大切です。動脈硬化がすすんでいなければ生活習慣の改善だけで正常化する場合もあります。また、脳や副腎の腫瘍による高血圧もあり、手術なしでは血圧が下がらない場合もあります。同じ種類の薬が2種類出ているなどのご質問をよくお受けしますので、ここでご説明いたします。例えばカルシウム拮抗薬という種類の薬があります。その中には脈拍を下げる力が強い薬、血管の攣縮(痙攣)を防ぐ力が強い薬、血圧を下げる力が強い薬があり、それぞれ別の効能を期待して複数のカルシウム拮抗薬が処方されます。またβ遮断薬は1種類で心臓に休養を与え血圧を下げ不整脈を抑える力を持っている反面、動脈や気管支を攣縮させてしまう副作用があり、それを防ぐため別の薬が必要になることもあります。利尿薬も立派な降圧薬ですが、その種類は様々で血中K濃度を下げたくない時などは、利尿薬だけで2剤必要な場合もあります。
内服治療のコツと注意点
合併症がある方には避けるべき薬があります。腎臓が悪い方には第一選択となる薬でも両側腎動脈狭窄がある方には慎重投与する必要があります。妊婦に使ってはいけない薬もあります。心不全になったことがある方には心臓を休めながら血圧を下げる薬を選択したほうがより効果的な場合が少なからずあります。高齢者はより血圧を下げるのに慎重になる必要があります。動脈瘤があるなど特別な場合以外でⅡ度以下の高血圧では急速に血圧を低下させる必要がない場合が多く存在します。医師はそれらのことをすべて考えた上で治療しています。
高血圧の治療をしましょう
あなたも血圧管理不良者3100万人のうちの一人かもしれません。生活習慣の改善はとても大切ですが、それだけではうまくいかない場合もたくさんあります。サイレントキラーと言われる高血圧ですが、手足が温かくなるような降圧ができた場合は、体調もよりよくなる方が多くいらっしゃいます。かかりつけ医をお持ちでなく、血圧が140/90mmHgを超えることがある方は病院を受診してみてはいかがですか?