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(2017年11月1日)
たばたクリニック (☎0267-63-2821) 田畑 賢一 院長
改正の背景
警察庁の資料によると、交通事故全体の件数が年々減っているのに対し、75歳以上の運転者による事故の割合は増加しています。図1は、平成17年から10年間の交通事故全体に占める高齢運転者の事故の割合を示しています。平成17年には全体の10.9%でしたが、平成26年には20.4%と、ほぼ2倍となっています。図2は、平成27年の年齢別死亡事故件数です。75歳以上で死亡事故が急激に増えています。75歳以上の運転者による死亡事故の内、約半数が、事前の認知機能検査で認知機能の低下を指摘されていました。これらのことから、認知機能が高齢者の交通事故に大きな影響を及ぼしていると考えられます。
運転免許証を更新するとき
75歳以上の方が、運転免許証更新時に認知機能検査を受けることは、今までと同じです。改正前は、認知機能低下と判断された場合、一時停止違反など一定の交通違反があった方のみ医療機関への受診義務がありました。改正後からは、違反の有無にかかわらず、「認知症のおそれ」と判定された方全員が医療機関に受診して認知症の有無についての診断を受けなければなりません。また、高齢者講習の内容も、実際に運転したドライブレコーダー記録をもとに指導を行うなど、 高度な内容に改定されています。
一定の違反行為をしたとき
一定の違反行為とは、認知機能が低下したときに起きやすい違反で、一時停止違反、信号無視、道路の逆走などがあります。改正前は、認知機能検査を受けるのは運転免許証更新時でした。その間に認知症が進行する可能性があることから、改正後は、免許更新を待たずに、新設された臨時認知機能検査を受け、「認知症のおそれ」と判定された場合は、受診が必要となります。
医療機関への受診
交通安全委員会から臨時適性検査、またはかかりつけ医の診断書の提出命令が送られてきます。指定の医療機関か、かかりつけ医を受診してください。診察や検査の結果で認知症と診断された場合、高齢者講習の結果と合わせて、運転免許証が取り消しとなる可能性があります。
運転免許証の自主返納
普段あまり運転されない方や、運転に自信がなく更新を希望しない方は、運転免許証の自主返納ができます。運転免許センターへご相談・お問い合わせください。返納後の支援は、佐久市であれば市内巡回バスやデマンドタクシー(予約制の乗り合いタクシー)の無料券が交付されます。
改正後の動き
9月12日の新聞記事によると、昨年の同時期に比べて、今年の1月から7月の死亡事故数が減少し、75歳以上の方の運転免許証の自主返納数が増えており、道路交通法改正は一定の効果を挙げているとのことです。ただし、問題点もあります。年齢と認知機能検査の結果だけで、一律に運転免許証を取り消すと、軽い物忘れのみで充分な運転能力がある方まで、運転免許証が取り消しになってしまう可能性があるからです。運転が生活の足として必要な方や運転に生きがいを感じている方も少なくないと思われます。専門医の集まりである学会からも、この点についての提言が行われています。警察庁も、運転できる車種や地域・時間帯を限定した「限定免許」の導入を検討しており、今後も法律が改正される可能性があります。高齢者の死亡事故が増えていることは事実ですので、普段から慎重な運転を心がけましょう。
月刊ぷらざ編集部(株式会社信州広告社)
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今年の3月に道路交通法が改正され、75歳以上の方が運転免許証を更新する際に、認知機能検査で一定以上の点数が取れない場合は、医療機関への受診が必要になりました。今回の改正について、説明します。
たばたクリニック (☎0267-63-2821) 田畑 賢一 院長
改正の背景
警察庁の資料によると、交通事故全体の件数が年々減っているのに対し、75歳以上の運転者による事故の割合は増加しています。図1は、平成17年から10年間の交通事故全体に占める高齢運転者の事故の割合を示しています。平成17年には全体の10.9%でしたが、平成26年には20.4%と、ほぼ2倍となっています。図2は、平成27年の年齢別死亡事故件数です。75歳以上で死亡事故が急激に増えています。75歳以上の運転者による死亡事故の内、約半数が、事前の認知機能検査で認知機能の低下を指摘されていました。これらのことから、認知機能が高齢者の交通事故に大きな影響を及ぼしていると考えられます。
運転免許証を更新するとき
75歳以上の方が、運転免許証更新時に認知機能検査を受けることは、今までと同じです。改正前は、認知機能低下と判断された場合、一時停止違反など一定の交通違反があった方のみ医療機関への受診義務がありました。改正後からは、違反の有無にかかわらず、「認知症のおそれ」と判定された方全員が医療機関に受診して認知症の有無についての診断を受けなければなりません。また、高齢者講習の内容も、実際に運転したドライブレコーダー記録をもとに指導を行うなど、 高度な内容に改定されています。
一定の違反行為をしたとき
一定の違反行為とは、認知機能が低下したときに起きやすい違反で、一時停止違反、信号無視、道路の逆走などがあります。改正前は、認知機能検査を受けるのは運転免許証更新時でした。その間に認知症が進行する可能性があることから、改正後は、免許更新を待たずに、新設された臨時認知機能検査を受け、「認知症のおそれ」と判定された場合は、受診が必要となります。
医療機関への受診
交通安全委員会から臨時適性検査、またはかかりつけ医の診断書の提出命令が送られてきます。指定の医療機関か、かかりつけ医を受診してください。診察や検査の結果で認知症と診断された場合、高齢者講習の結果と合わせて、運転免許証が取り消しとなる可能性があります。
運転免許証の自主返納
普段あまり運転されない方や、運転に自信がなく更新を希望しない方は、運転免許証の自主返納ができます。運転免許センターへご相談・お問い合わせください。返納後の支援は、佐久市であれば市内巡回バスやデマンドタクシー(予約制の乗り合いタクシー)の無料券が交付されます。
改正後の動き
9月12日の新聞記事によると、昨年の同時期に比べて、今年の1月から7月の死亡事故数が減少し、75歳以上の方の運転免許証の自主返納数が増えており、道路交通法改正は一定の効果を挙げているとのことです。ただし、問題点もあります。年齢と認知機能検査の結果だけで、一律に運転免許証を取り消すと、軽い物忘れのみで充分な運転能力がある方まで、運転免許証が取り消しになってしまう可能性があるからです。運転が生活の足として必要な方や運転に生きがいを感じている方も少なくないと思われます。専門医の集まりである学会からも、この点についての提言が行われています。警察庁も、運転できる車種や地域・時間帯を限定した「限定免許」の導入を検討しており、今後も法律が改正される可能性があります。高齢者の死亡事故が増えていることは事実ですので、普段から慎重な運転を心がけましょう。