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閉塞性動脈硬化症

皆さんの周りに歩くと下かたい腿が苦しくなって歩けなくなる方はいらっしゃいませんか?今回は、高齢者の下肢に多い動脈の病気「閉塞性動脈硬化症」のお話をします。たかが脚の病気とタカをくくってはいけません。命にかかわる重篤な病気が隠れているかもしれないのです。

佐久市立国保浅間総合病院 
血管外科(☎0267-67-2295)
箕輪 隆 副院長

 

閉塞性動脈硬化症とは

片方の足が冷たい、しびれる、歩くと下腿が苦しくなって歩けなくなるけど、しばらく休んでいると楽になって歩き始めるとまた歩けなくなる、という方は閉塞性動脈硬化症の可能性があります。また苦しい方の脚は、付け根や足の甲の脈が触れづらい場合が多いです。重症になると歩かなくても足が痛くなったり、つま先、かかと、くるぶしが壊疽(えそ)に陥って黒くなったりします。動脈硬化は全身の動脈に及んでいるので、脚を失うだけでも大きな障害ですが、閉塞性動脈硬化症の患者さんは、重要な臓器にも動脈硬化が及んでいる可能性が高く、脳梗塞、心筋梗塞、腎不全などの発生率が高いので、それらの臓器を調べる必要があります。似たような症状の病気に、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)という背骨の病気があります。しびれが脚の外側だったり、しゃがんだりして腰の姿勢を変えるだけですぐに足のしびれが取れるのが特徴です。

 

ところで動脈硬化って?

動脈の壁にコレステロールなどがたまり血管が硬くなるだけでなく、壁が厚くなって血液の通り道が狭くなったり詰まったりします。動脈硬化は喫煙する男性に圧倒的に多く発生しますが、糖尿病や高血圧、高脂血症といった生活習慣病があるとさらに生じやすくなります。

 

どんな検査が必要ですか?

まずはソケイ部・足部の脈の触診です。病院ではABIという機器で上肢(じょうし)と下肢(かし)の血圧の比を調べます(正常0.9〜1.3)。また超音波検査、造影CT検査、カテーテルを使った血管造影検査などにより下肢動脈の病変をみます。

 

治療は

治療は病変の状態により、運動療法、薬物療法、バイパス手術療法、カテーテル治療などがありますが、治療が遅れると脚を切断しなければならないこともあります。

 

閉塞性動脈硬化の予防

まずは禁煙。「タバコ一本、脚一本」と言われるようにタバコに含まれているニコチンと一酸化炭素は動脈硬化を引き起こしたり悪化させたり、最悪の場合足を失うこともあります。
次に動脈硬化を促進する高血圧・糖尿病・高脂血症の対策として、カロリー・動物性脂肪を減らした食生活、適度な運動と不規則な生活の改善を心がけることが必要です。
また、足の血液の流れが悪くなると足に傷がつきやすく治りにくくなるので、傷、腫れ、変色、うおのめ、たこ、ひび割れなどがないか毎日の足のチェックが大切です。深爪にならないように爪のケアにも注意しましょう。裸足ではけがや靴ずれを起こしやすいので靴下をはきましょう。足に合った靴も大切です。こたつや電気カーペットなども火傷の原因になります。温度に注意するか、部屋全体を暖める暖房器具を使いましょう。長時間の起立や正座、しゃがみ込んだ姿勢は血管に負担がかかり、病状や症状が悪化しますので避けましょう。

 

●佐久市立国保浅間総合病院 血管外科外来 月曜、金曜午前中

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