ぷらざINFO/教えてドクター みんなの医学

花粉症

「月刊ぷらざ佐久平 平成25年4月号」掲載

かいだ先生 スギ花粉症の時期がやってきました。日本で初めて報告された花粉症は、1961 年のブタクサ花粉症でした。1963年には、栃木県日光市で日本初のスギ花粉症が報告されました。以前に比べると花粉症にかかる人の割合は増えており、2008年の調査では、日本国民の29.8%が花粉症患者さんでした。この時期、沢山の人を悩ませている花粉症についてお話します。

 

佐久総合病院 耳鼻咽喉科(☎0267-82-3131) 會田 小百合 医長

 

 

花粉症とは?

花粉により、主に鼻や目の粘膜に起こるアレルギーで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出る病気です。花粉症の原因となる花粉には、スギ、ヒノキ、マツ、ブナ、カバノキ、イネ、ヨモギ、ブタクサなどが挙げられ、日本ではこれまでに60種類以上が報告されています。原因として一番多いのは、よ花粉症はつらいく知られているスギですが、1年を通して何かしらの花粉が飛んでいるため、さまざまな花粉症が1年中存在します。アレルギー性鼻炎という病気を聞かれたことがあるかと思います。アレルギー性鼻炎は、通年性と季節性に分けられ、アレルギー性鼻炎の中の季節性のものを花粉症と呼んでいます。

 

アレルギーとは?

病気の原因になる病原体(ウイルスや細菌)が体に入ってしまったときには、体を守るために抗体というものができて、病原体とたたかうしくみがあります。これを免疫と呼んでいます。免疫があるおかげで人は病気から守られています。ところが、体に異物が入って来たときに必要以上に免疫が働いてしまうことをアレルギーと言います。アレルギーの原因になるものは、抗原と呼ばれますが、抗原になるものは、食べ物、ダニ、ほこり、花粉など沢山あります。花粉症は花粉が抗原であるアレルギーです。

 

スギ花粉症の歴史

スギ花粉が原因の花粉症は、1970年代後半から増えました。第二次世界大戦のあと、建築用の木材にしたり大水を防ぐ目的で、北海道と沖縄を除いて全国にスギが植えられました。ところが外国から安い木材が入るようになり、国内のスギ林の手入れがおろそかになり、花粉を大量に出す樹齢30年以上のスギの割合が増えました。現在、スギ花粉症の割合は4人に1人程度で、30〜50歳代に多い傾向があります。

 

花粉症の症状

鼻の3大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。目の症状としては、目のかゆみ、涙が出る、まぶたが腫れる、充血などがあります。くしゃみは、体内に入った花粉を外に出そうとするために出ます。鼻水や涙は、体内に入った花粉を洗い流そうとするために出ます。鼻と目の症状だけでなく、花粉症により、頭痛、のどの痛み、咳、体のかゆみ、集中力が落ちる、イライラするなどの症状がみられることもあります。風邪の症状と似ているのですが、花粉症の場合には、熱がでることがほとんどないのと症状が数ヶ月と長く続くという違いがあります。

 

花粉症の診断

いつからどんな症状が出ているのかの問診が最も大切です。次に鼻の中に前鼻鏡という器具を入れて鼻の粘膜や鼻水の状態を見ます。さらに血液をとってアレルギー反応を調べる検査をします。

 

花粉症対策

花粉症の発症を防ぐために、抗原である花粉を体内に入れないようにすることが第一の対策になります。①外出時にはマスク、眼鏡を使う。②花粉のつきやすいウール素材は避け、木綿やナイロンのような表面がツルツルした服装を選ぶ。③帰宅時は衣服や髪をよく払って入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。④花粉の飛散が多いときは窓、戸を閉めておく。⑤花粉の飛散が多い時は布団や洗濯物の外干しは避ける。⑥窓際を念入りに掃除する。以上がすすめられています。

 

花粉症の治療

まずは先に述べたように抗原を入れないことが最も重要ですが、その他にも薬物療法、免疫療法、手術などの治療があります。薬物療法は、抗アレルギー薬と呼ばれる飲み薬や鼻にふきつけるステロイド薬、目薬があります。予防的投与といって、花粉症が始まる2週間くらい前から薬を飲む方法も効果があります。免疫療法は、花粉症の原因となっている抗原の注射を繰り返して、アレルギーが起きないように体を慣らしていく方法です。完全に治せる可能性のある治療ですが、数年間にわたり根気よく通院しなければいけない治療です。手術は、花粉症に伴う鼻づまりや鼻水の症状を軽くするために行います。鼻の粘膜をレーザーで焼いたり、腫れた粘膜を削って減量することで鼻の通りをよくします。手術には日帰りで出来るものと入院が必要なものとがあります。
花粉症は、人によって原因や症状が異なり、治療法も変わってくるので、花粉症の症状が出たら、耳鼻科や眼科のほか、内科、小児科などで相談して下さい。

 

社団法人 佐久医師会

〒385-0052 佐久市原569-7
TEL0267-62-0442 FAX0267-63-3636
http://saku-ishikai.or.jp