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(2013年1月31日)
「月刊ぷらざ佐久平 平成25年2月号」掲載
夜間頻尿とは、医学的には「排尿のために1回以上起きなければならないという訴えであり、そのことにより困っている状態をいう」と定義されています。実際には2回以上の夜間排尿を問題とすることが多いようです。80代の男性で91%、女性で72%の方が夜間頻尿といわれており、高齢者の尿の悩みでは最も多い症状です。自分で原因を特定して生活を見直すことで、症状が改善することがあります。あなたはどのタイプに当てはまりますか?
さとう泌尿器科クリニック(☎0267-68-2233) 佐藤 智哉 院長
原因は大きく3つあります(図1)。夜の尿量が増える「夜間多尿」、眠りが浅くなって目が覚めてしまう「睡眠障害」、膀胱の活動が過敏になってしまう「過活動膀胱」です。いずれも高齢になると起こりやすく、複数の原因を有している方も多く見受けられます。
①ホルモンバランス就寝すると脳から尿量を減らす指令を出すホルモン(抗利尿ホルモン)が分泌されるため、腎臓はあまり尿を作らなくなります。加齢に伴い抗利尿ホルモンの分泌量が減るため、腎臓は昼も夜も同じように尿をつくるようになってしまいます。抗利尿ホルモン以外にも尿量を調節するホルモンがいくつかありますが、その多くが加齢によって夜間尿量を増やすように作用してしまいます。ホルモンバランスを取り戻すことはできませんが、夕方以降は水分摂取量を減らしましょう。就寝時に余分な水分が体に貯まっていないようにすることが大事です。
②足のむくみ水は重いため日中は足に貯まりやすくなります。そうならないよう本来ならリンパ管が水を汲み上げてくれるのですが、加齢によってリンパ管の機能は低下するため、夕方になると足がむくみやすくなります。就寝時に足を上げた状態になると、むくみとして足に貯まった水分が血管内に流れ込みます。つまり、水を飲みながら寝ているような状態になるために夜間多尿となってしまいます。就寝前にできるだけ足のむくみを取るようにしましょう。入浴時の足のマッサージや、夕食後就寝前に数時間足を持ち上げた状態で横になる時間を作ることも有効です。
③水分の過剰摂取水分をたくさん摂ると血液がサラサラになると信じている方が多いのですが、医学的な根拠はありません(脱水症は別です)。夜間頻尿になると転倒の機会が増えて寿命が縮むという医学的根拠はあります。後述する排尿記録で水分の過剰摂取が疑われるようなら、日々の生活を見直して水分摂取量を減らしましょう。
夜になると脳から眠気を催すホルモン(メラトニン)が分泌されます。加齢とともに、メラトニンの分泌量が低下するため眠りが浅くなります。さらに、トイレで光の刺激を浴びるとメラトニンの分泌量は急激に低下します。つまり、一度トイレに起きるとそれ以降の睡眠は極端に浅くなります。このため、トイレに行きたいから起きるのか、起きてしまうからトイレに行くのか、わからない方が多く見受けられます。トイレの電気は薄暗くしましょう。軽い睡眠薬が有効なことも多いようです。当施設では就寝前ではなく最初にトイレに起きた時点で睡眠薬を内服するよう指導しています。眠りが深くなるよう、日中適度な運動をしましょう。お昼寝は体に良いのですが、30分以内に抑えましょう。
先月号で説明しましたので、今回は割愛させていただきます。専門医に相談しましょう。
自分の夜間頻尿がどの原因によるものかは、排尿記録をつけてみればわかります。何時にどれだけの尿が出たかを24時間記録してみてください。図2は排尿記録の正常例です。1日の尿量は1600〜1800㎖、一回の排尿量はおよそ200~400㎖です(起床時の尿量は就寝中の尿量として計算する)。就寝中尿は作られていますが、トイレには起きていません。図3は一回の排尿量は正常ですが、就寝中の尿量が多い夜間多尿です。さらに日中の尿量も多く、水分の過剰摂取も認められます。
図4は就寝中のみ一回の排尿量が少ないことから睡眠障害と思われます。図5は起きている時も就寝中も一回の排尿量が少ないことから、膀胱が小さい、すなわち過活動膀胱が原因と思われます。
社団法人 佐久医師会
〒385-0052 佐久市原569-7TEL0267-62-0442 FAX0267-63-3636http://saku-ishikai.or.jp
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「月刊ぷらざ佐久平 平成25年2月号」掲載
夜間頻尿とは、医学的には「排尿のために1回以上起きなければならないという訴えであり、そのことにより困っている状態をいう」と定義されています。実際には2回以上の夜間排尿を問題とすることが多いようです。80代の男性で91%、女性で72%の方が夜間頻尿といわれており、高齢者の尿の悩みでは最も多い症状です。自分で原因を特定して生活を見直すことで、症状が改善することがあります。あなたはどのタイプに当てはまりますか?
さとう泌尿器科クリニック(☎0267-68-2233) 佐藤 智哉 院長
夜間頻尿の原因
原因は大きく3つあります(図1)。夜の尿量が増える「夜間多尿」、眠りが浅くなって目が覚めてしまう「睡眠障害」、膀胱の活動が過敏になってしまう「過活動膀胱」です。いずれも高齢になると起こりやすく、複数の原因を有している方も多く見受けられます。
夜間多尿
①ホルモンバランス
就寝すると脳から尿量を減らす指令を出すホルモン(抗利尿ホルモン)が分泌されるため、腎臓はあまり尿を作らなくなります。加齢に伴い抗利尿ホルモンの分泌量が減るため、腎臓は昼も夜も同じように尿をつくるようになってしまいます。抗利尿ホルモン以外にも尿量を調節するホルモンがいくつかありますが、その多くが加齢によって夜間尿量を増やすように作用してしまいます。ホルモンバランスを取り戻すことはできませんが、夕方以降は水分摂取量を減らしましょう。就寝時に余分な水分が体に貯まっていないようにすることが大事です。
②足のむくみ
水は重いため日中は足に貯まりやすくなります。そうならないよう本来ならリンパ管が水を汲み上げてくれるのですが、加齢によってリンパ管の機能は低下するため、夕方になると足がむくみやすくなります。就寝時に足を上げた状態になると、むくみとして足に貯まった水分が血管内に流れ込みます。つまり、水を飲みながら寝ているような状態になるために夜間多尿となってしまいます。就寝前にできるだけ足のむくみを取るようにしましょう。入浴時の足のマッサージや、夕食後就寝前に数時間足を持ち上げた状態で横になる時間を作ることも有効です。
③水分の過剰摂取
水分をたくさん摂ると血液がサラサラになると信じている方が多いのですが、医学的な根拠はありません(脱水症は別です)。夜間頻尿になると転倒の機会が増えて寿命が縮むという医学的根拠はあります。後述する排尿記録で水分の過剰摂取が疑われるようなら、日々の生活を見直して水分摂取量を減らしましょう。
睡眠障害
夜になると脳から眠気を催すホルモン(メラトニン)が分泌されます。加齢とともに、メラトニンの分泌量が低下するため眠りが浅くなります。さらに、トイレで光の刺激を浴びるとメラトニンの分泌量は急激に低下します。つまり、一度トイレに起きるとそれ以降の睡眠は極端に浅くなります。このため、トイレに行きたいから起きるのか、起きてしまうからトイレに行くのか、わからない方が多く見受けられます。
トイレの電気は薄暗くしましょう。軽い睡眠薬が有効なことも多いようです。当施設では就寝前ではなく最初にトイレに起きた時点で睡眠薬を内服するよう指導しています。眠りが深くなるよう、日中適度な運動をしましょう。お昼寝は体に良いのですが、30分以内に抑えましょう。
過活動膀胱
先月号で説明しましたので、今回は割愛させていただきます。専門医に相談しましょう。
あなたはどのタイプ?
自分の夜間頻尿がどの原因によるものかは、排尿記録をつけてみればわかります。何時にどれだけの尿が出たかを24時間記録してみてください。図2は排尿記録の正常例です。1日の尿量は1600〜1800㎖、一回の排尿量はおよそ200~400㎖です(起床時の尿量は就寝中の尿量として計算する)。就寝中尿は作られていますが、トイレには起きていません。図3は一回の排尿量は正常ですが、就寝中の尿量が多い夜間多尿です。さらに日中の尿量も多く、水分の過剰摂取も認められます。
図4は就寝中のみ一回の排尿量が少ないことから睡眠障害と思われます。図5は起きている時も就寝中も一回の排尿量が少ないことから、膀胱が小さい、すなわち過活動膀胱が原因と思われます。
社団法人 佐久医師会
〒385-0052 佐久市原569-7
TEL0267-62-0442 FAX0267-63-3636
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