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地域で医療の役割分担を ―病状に応じてかかりつけ医と連携し地域の医療を支えます―

「月刊ぷらざ佐久平 平成25年11月号」掲載

igaku77_01佐久総合病院の佐久医療センターが2014年3月1日にオープンします。佐久医療センターは紹介型病院の「地域医療支援病院」をめざしています。今回は「地域医療支援病院」ができることによって変化する佐久地域の医療の役割分担について説明します。

 

JA長野厚生連 佐久総合病院(☎0267-82-3131)

 

 

医療現場の厳しい状況

現在日本の医療では、「医師不足」、「医療崩壊」、「患者のたらい回し」など、数多くの問題が存在しています。その背景としては、医師の都市部への集中、患者数に比べ少ない地方医の疲弊、「コンビニ受診」による医療機関の麻痺などさまざまな要因があります。

 
また、医療の発展による専門化、高度化で一人の患者さんの治療に多くの専門スタッフが必要とされます。ちなみに心臓血管外科の補助人工心臓治療手術では、一人の手術患者さんに医師や看護師など20~30名のスタッフが関わっています。

 
数年前、佐久地域でも多くの病院が医師不足となり、医師たちは、休みもなく朝から夜遅くまで診療に追われ、疲れ果て、なんとか気力で働いていました。さらに、入院して治療を受けなければならない患者さんがいるのに、病院には空いているベッドがなく、パンク寸前ということもありました。

 

igaku77_02診療所や一般病院を支える病院
「地域医療支援病院」

今、ひとつの病院が、なんでもかんでも頑張るのではなく、地域全体を一つの大きな病院に見立てて、それぞれの医療機関が係り分担をするというのが国の方針となっています。「診療所」は外来医療を、「一般病院」は入院医療を、「地域医療支援病院」は診療所や一般病院ではできない治療や難しい検査を、「特定機能病院(主に大学病院)」は治療をしながら病気の研究を担当してやっていこうというものです。この考えを「地域完結型医療」と呼びます。「地域完結型医療」を実現するためには、地域の医療機関が連携し、患者さんの情報共有が大切になります。

 
佐久医療センターがめざしている「地域医療支援病院」は、文字通り「地域の医療を支援する病院」で、つまり、地域医療の最前線である「診療所」や「一般病院」を助けるための病院なのです。

 

身近な「かかりつけ医」を持ちましょう

地域医療支援病院は、軽症を含む外来患者さんの診察に追われて、高度な治療が必要な入院患者さんや救急患者さんに手が回らないといった事態が起こらないようにしなければなりません。日頃から「かかりつけ医」を持ち、必要なときに紹介状を書いてもらい受診し、症状が落ち着き安定してきたときには、また「かかりつけ医」に戻って受診をしていただきたいと考えています。このために、佐久医療センターでは「かかりつけ医」と密に連携をとり、紹介があったらすぐに受診できる体制を整備しています。紹介状がない場合には、紹介状をお持ちの患者さんと不平等にならないよう特別な初診料がかかりますので、ご負担額が増します。地域に日頃の体調のことをわかってくれている「かかりつけ医」と、紹介状があるとすぐに診てくれる地域医療支援病院の「専門医」の、2人の主治医がいるととても安心です。

 
佐久医療センターが「地域医療支援病院」としての役割を発揮するためには住民の皆さんの協力が必要です。日常的な病気やカゼなどの軽症の場合には、まずは身近なかかりつけ医を受診していただくようお願いいたします。

 


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