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心臓病ってなんだろう?

「月刊ぷらざ佐久平 平成25年3月号」掲載

堀込 実岐 医師
毎年寒さが厳しくなると、『心臓病』の患者さんが増えています。『心臓病』ってよく耳にすると思いますが、どのような病気なのでしょうか。『心臓病』は日本人の死因の第2位(2011年)となっています。皆さんのまわりにも『心臓病』の方、意外と多いのではないでしょうか。身近な病気、『心臓病』について少し読んでみてください。

 

佐久総合病院 循環器内科(☎0267-82-3131) 堀込 実岐 医師

 

死因別死亡割合『心臓病』とは?

心臓は体中に栄養や酸素を豊富に含む血液を送り出すためのポンプの働きをしています。このポンプが傷んでしまうのが『心臓病』という病気です。心臓が元気に動いているおかげで、私たちの体も健やかに保たれていますが、心臓というポンプが止まってしまうことは生命の終わりを意味します。
『心臓病』には様々な病気が含まれます。動脈硬化が原因の虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脈が乱れる病気(不整脈)、高血圧が原因で心臓が肥大する高血圧性心疾患、生まれつき心臓に問題のある先天性心臓病、そのほか心筋症、心臓弁膜症など多くの病気があります。これらの原因によって、心臓が衰えてしまい、うまく働かなくなってしまった状態が心不全です。虚血性心疾患、高血圧性心疾患は生活習慣病が原因であり、心不全、不整脈、心臓弁膜症などの一部もやはり生活習慣病が原因となっています。

 

igaku69_03『心臓病』の予防は生活習慣病を予防すること

世界保健機関(WHO)や東京大学などの国際研究グループの2010年調査で、世界の人々が死亡や長期の闘病で苦しむ原因のトップが心臓病と報告されています。『心臓病』って恐ろしい病気ですね。なるべく苦しまなくていいように、どうしたら『心臓病』を予防できるのでしょうか。『心臓病』の多くは生活習慣病が原因となっていますので、生活習慣病の予防が重要となります。特に動脈硬化によって起こる虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の予防は生活習慣病を改善させることです。虚血性心疾患は冠動脈という心臓の周りを走っている血管の動脈硬化により起こります。血管の中にゴミがたまり(動脈硬化)、心臓を動かしている筋肉(心筋)への血液の流れが悪くなることにより起こる病気です。血液の流れが一時的に悪くなっているのが狭心症、血液の流れが持続的に悪くなり心筋が死んでしまったものが心筋梗塞です。動脈硬化症は老化により進行しますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群などの生活習慣病がもともとあると、さらに動脈硬化が加速してしまうのです。高血圧を防ぐためには減塩に気をつけること、糖尿病、脂質異常症を防ぐためには動物性の脂肪や炭水化物、甘いものをとりすぎないことです。また、喫煙は動脈硬化を促進し、虚血性心疾患のリスクを約3倍あげると言われています。『心臓病』の予防に禁煙は不可欠です。

 

『心臓病』の早期発見・早期治療

がんは早期発見・早期治療が大切と一般に言われていますね。これと同じで『心臓病』も早期発見・早期治療が大切です。特に、先ほど説明した虚血性心疾患では早期発見・早期治療が重要です。心筋梗塞まで進行する前に狭心症の段階で発見すること、心筋梗塞となった場合には、心臓の筋肉が完全に死んでしまう前に少しでも早く治療をすることが大切なのです。『心臓病』は検診の受診や自覚症状などがきっかけとなり発見されます。検診で異常を指摘されたとき、動悸、息切れ、胸痛、むくみなどの自覚症状がある場合には早めに医療機関を受診しましょう。

 

『心臓病』の治療

『心臓病』の治療には、その病気によりいろいろな種類があります。薬を飲んだり注射したりする治療、心臓カテーテルでの治療、外科的手術による治療です。これに加えて、生活習慣病の治療が重要となり、食生活の改善、適度な運動が必要となります。食生活については、1日3回規則正しい食事、減塩(6g/日)などが基本となります。近年、『心臓病』での運動の重要性が指摘されています。運動することにより運動能力が向上し日常生活が楽になる、脂質異常症が改善する、心臓病の再発や突然死が減るなどの良い点があります。有酸素運動が望ましく、自転車エルゴメーター(エアロバイク)がよく用いられます。しかし、運動により逆に心臓病が悪化する場合もありますので、運動する場合には主治医の先生とよく相談してからにするようにお願いします。

 

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