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黒澤酒造株式会社 代表取締役社長 黒澤 孝夫氏

風土に合った原料米を自家栽培 長野らしい酒を造り県内外へ発信sb01

創業は江戸末期の安政5年。地元産の米を使い、千曲川の伏流水で醸した清酒「井筒長」で知られる歴史ある蔵元です。

6代目の孝夫さんは26歳で家業に入りました。創業当時から「地域に根ざした酒造り」を信念とし、長野県産米にこだわって酒造りをしてきた黒澤酒造ですが、孝夫さんはより踏み込んだ酒造りを目指し、平成17年から自社田での酒米作りを始めました。作るのは長野県で生まれた品種「ひとごこち」。「酒米では山田錦が王様と言われますが、標高の高い佐久穂にはひとごこちが適しています。背伸びして風土に合わないものを作るのではなく、地域でできる品種を使った酒造りにこだわり、米の使用総量からすればごくわずかですが、自社栽培米を使うことでうちにしか出せない味を追求したい」と話します。

酒造りだけでなく、酒の資料館やギャラリーといった見学施設を併設しているのも同社ならでは。日本酒には「特別なもの、難しい」といったイメージがあるため、「少しでも親しみやすく、お酒の文化に触れてもらいたい」という先々代のアイデアから始まったそうです。

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そんな先々代と同じ思いを持つ孝夫さんは、「八千穂美醸会」を設立。同蔵のファンクラブともいえるこの会では、首都圏を中心に集まった約70名の会員が田植えから稲刈り、仕込みまでを体験。出来上がった酒を共に味わいます。「体験後は必ず飲み会なので、2次会に行くという話になれば、もちろん付き合います(笑)」と孝夫さんも楽しんでいるご様子。季節ごとに表情を変える佐久穂の自然に触れることで、地域の魅力も伝えています。

「自然の恩恵を生かし、地域に根ざした酒造りをすること」が、ヒットにつながると話す孝夫さん。4月16日には、3ヶ月間標高1700mの八千穂高原で氷雪貯蔵された「純米生原酒」を発売。自然の恵みがもたらす黒澤酒造の春の自信作の登場です。sb07